千代に八千代にパリジェンヌのように美しく

パリのエステシャンがあなたに伝えたい、年を重ねても美しいパリジェンヌのきれいの秘訣

砂漠のプリンセスの秘薬   ウチワサボテンオイル

 

クリームだけでは潤い不足

病院でのがん患者へのビューティーレッスンでのこと。参加者のマダムから、

「肌がカサカサに乾燥して、どれほどクリームを塗ってもつっぱり感が改善されないので、朝晩オイルをたっぷり塗っています。」

という声を何度も耳にしました。

がん治療の副作用によって、肌は急激に乾燥してしまい、通常の保湿ケアだけでは改善されません。シミやシワよりも、まずはカサカサして引きつり感のある不快症状を和らげることが先決です。そのためには、油分の補給は欠かせません。

 

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フェイシャル用のみならず、シャンプーやボディシャンプーに至るまで、私たちが日常使用している化粧品には、アルガンオイル、アボカドオイルや椿オイル等、植物オイルが配合されています。

 

もともとクリームのベースは、油性成分と水性成分の混合物です。

水と油は、一旦は混ざったように見えても、そのままにしておくと分離してしまいますね。自家製のサラダドレッシングを思い浮かべてください。化粧品は、そうならないように乳化剤を加えて、本来なら弾き合うもの同士を均一に混合して安定した状態を保っています。

化粧品の成分として使用されるオイルは直接肌に付けてもいいわけですね。

私は、以前からボディのマッサージやヘアケアの仕上げにはオイルを使用していますが、顔に直接つけるのは、べとつきとテカリに抵抗がありました。皮脂の分泌が多すぎるとニキビができることからも、油分の取りすぎは毛穴をふさいでしまい、肌の自然な状態を覆い窒息させてしまう心配があります。肌がべとついて髪の毛が顔に張り付いたり、ほこりがつきやすくなったりするので、肌の表面に油脂がべとべと残るのは不快です。

顔に塗るのは、コクのあるテクスチャーでも肌にのせるとスーッと伸びて素早く浸透していき、肌にべたつきを残さないように処方されているクリームが理想的です。

 

私は職業柄、高級な美容液やクリームを惜しみなく使用してきました。

それにもかかわらず、50代になってからは、肌の衰えを感じるようになってきました。適量よりも大目にしっかり使用して肌を潤わせてから就寝しても、朝起きると肌の表面はカサカサになっているのです。朝、またしっかり保湿してからメイクをしても、午後になるとまたカサカサに元どおり。その繰り返しでした。

パリの気候は日本よりも乾燥しているうえに、長い冬の間、暖房の効いた中で暮らしているので、生活環境も肌にはよくありません。

それに加えて、年齢的に私の体内の女性ホルモンの分泌が減少しているのだから仕方ないですね。とはいえ、「塗っても塗ってもカサカサ」、毎日、砂漠にバケツで水をまいているような虚しさを感じていました。

 

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砂漠のプリンセスのためのオイル

そんなわけで、私もマダム達の意見を参考にして植物オイルを試すことにしました。

行きつけのハーブ専門店の化粧品コーナーでいろいろ試した末に、南仏にある夫の実家の庭で栽培されていたことから、ウチワサボテンのオイルに興味を持ちました。

手の甲に1滴オイルを垂らしてみると、草のような緑の香りがします。指先で軽く延ばすと、スーッと肌の中に吸い込まれていき、肌の表面は一瞬にしてなめらかさを取り戻しました。

100%天然のオイルにもかかわらず、驚くほどの浸透力。

まるで数万円の高級美容液を使用したように肌はしっとりと潤いました。

 

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夏になると、赤や黄色のウチワサボテンの果実を八百屋さんの店頭で見かけます。

 

それもそのはず、このウチワサボテンオイルは、「砂漠のプリンセスがいつまでも若さを保つための貴重なオイル」との異名を持ちます。 

ウチワサボテンは、地中海沿岸、主に北アフリカのモロッコチュニジアで栽培されています。その果実の中の小さな種子からコールドプレス(低温圧搾)法でゆっくり時間をかけて一番絞りのオイルを採取します。

1リットルのオイルを調達するためには、30キロの種子が必要になります。そのためには、1トンの果実が必要です。

世界一高価なオイルと言われる所以です。プリンセス専用な訳ですね。

抗酸化作用に優れ、肌の細胞再生を促進し、老化を防止する効果があります。

 

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甘さ控えめのメロンのような味がします。

使用し始めて数日後には、肌に柔軟性やハリが戻ってきたことを実感しました。

さまざまなアンチエイジング化粧品を試した末に私がたどり着いたのは、砂漠の秘薬、ウチワサボテンオイルでした。

50歳代半ば過ぎの成熟肌を乾燥から救ったのは、砂漠地帯の過酷な環境下でも、活き活きと力強く生息するサボテンが、その種子の中に蓄えている自力で生き延びるためのエネルギーでした。

肌の細胞は就寝時に再生されるため、私はこの生命力を毎晩就寝前に肌にチャージしています。

 

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この種子からオイルを採取します

チョコレートは生活必需品です!

フランスでは、今年になってからも夜間外出禁止令が継続されコロナウイルス感染対策措置が取られてきました。それにもかかわらず英国変異種の猛威に直面し、急激な感染拡大に直面しているパリとその周辺のイールドフランス地方、フランス北部並びに南仏ニース周辺は3月20日よりついに3度目のロックダウンに突入しました。

その後、4月3日から全国に拡大されることになりました。

 

企業はテレワークの実施を、生活必需品を扱う小売店以外は閉店を余儀なくされています。

政府よりロックダウン中も営業が許可される業種のリストが発表されましたが、今回は新たにチョコレート専門店も追加されました。

 

 

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ビーントゥバー(カカオ豆の焙煎からチョコレートバーになるまでのすべての製造工程を自社で行うこと)による板チョコで有名な BONNAT の店内

チョコレートはお好きですか?

 

フランス人は、1年間に1人当たり7.3 kgのチョコレートを消費します。3人に1人は、毎日必ず食べているんですよ。

日本でもサロン ド ショコラが開催され、近年は世界中のチョコレートを購入できるようになりましたが、日本人1人当たりの年間消費量は1.2kgにとどまっています。

(チョコレート工業組合による2019年度の統計)

 

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チョコレートは体に悪い?

私は留学生の頃、慣れないフランスでの生活と思うようにフランス語が上達できないイライラした気持ちを抑えるために、SNICKERSやMILKAの板チョコを毎日持ち歩いて食べていました。ある時、鼻の頭に大きな赤いニキビができ、それをつぶすと白い脂がにゅるにゅるとでてくるという経験をして、チョコレートは肌に良くないとわかりました。その後は、できるだけ買わないように我慢していますが、心が弱ってくるとつい手が伸びてしまいます。

 

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 Lindtの復活祭用チョコレート

 

でも、疲れている時やイライラしている時にチョコレートを口に運ぶと心が落ち着きますよね。

そこで、最近は食べ過ぎを防ぐために、チョコレート専門店のビターを買うことにしています。ビターチョコレートは、カカオの含有量が多く、包みを開けるとまずカカオの甘美な香りで幸せな気分になります。

次にひとかけらを口に運ぶと、舌の上でゆっくりととろけるにつれて濃厚なカカオの味が口の中いっぱいに広がり、少量でも満足感が得られます。

高級店のチョコは高価なため、じっくりと味わって食べるように心がけるうちに食べ過ぎを防ぐことにもなります。

 

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Lindtのウサギ型チョコレート

 

チョコレートを食べると太る!と思っていませんか?

チョコレートの原料がカカオ豆なのは皆さんもご存知でしょう。

このカカオには、なんと赤ワインの数倍のポリフェノールが含まれています。

ポリフェノールと言えば、老化や生活習慣病の原因となる活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用で知られています。肌のアンチエイジングにも役立つんですよ。

動脈硬化やがんの予防、血圧の低下、脳の活性化にも効果的です。

カカオに含まれる食物繊維やミネラルは便通の改善や肌荒れの防止にもなります。

美容にもいいということですね。

さらに、カカオの苦み成分のテオブロミンには、集中力や記憶力、やる気を高める作用に加えて、神経を落ち着かせる効果もあるのです。

また、カカオの栄養素のおよそ半分はカカオバターですが、これは体内に吸収されにくい良質な脂肪分ため、肥満の直接の原因にはなりません。

 

「チョコレートを食べると太る!」のは、カカオに加えられている砂糖やミルク、植物油脂やキャラメルの過剰摂取によるものなのです。

カカオ含有量の多いビターチョコレートは、健康に良い食べ物と言えますね。

良質の美味しいチョコレートを食べて健康維持に役立てましょう。

 

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 Patrick Rogerの店内

 

復活祭にチョコレートは欠かせません

では、これほどまでのチョコレートの健康への効用とフランス人の毎日の楽しみを奪うことを恐れて、政府はロックダウン中もチョコレートの販売を許可したのでしょうか?

真相は、4月4日の復活祭を祝うためなのです。

この祝祭日に、チョコレートは欠かせません。年間売り上げの約5%のチョコレートがこの日のために消費されるのでその経済効果を考慮しないわけにはいかないのです。

(ちなみにクリスマスは約10%です)

そこで、今回のロックダウン中に営業できる小売店リストにチョコレート専門店が加えられたというわけです。

 

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 Patrick Roger

 

なぜ、復活祭にはチョコレートが必需品なのか? 

復活祭は、十字架にかけられ処刑されたイエス・キリストが三日目に復活した奇跡を記念する、キリスト教徒にとって最も重要な行事です。

英語では「イースター」、フランス語では「パック」と呼ばれます。

 

毎年、春分の日以降の最初の満月の次の日曜日に定められている移動祝祭日です。

当日、教会では特別なミサが執り行われます。

 

フランスでは、翌日の月曜日は祝日になるうえに、学校は「パック」前後に2週間休暇になります。

古代から、卵は生命誕生と再生の象徴とされていました。

硬い殻を破りヒヨコが卵から誕生する様子はイエス・キリストの復活の奇跡と重ね合わされ、復活祭の卵はキリスト復活のシンボルとされています。

 

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 Patrick Roger これもチョコレートです

 

四旬節と呼ばれる復活祭前の40日間(日曜日を除いて数える)、敬虔な信者は、卵、肉、乳製品とアルコールを口にせず食事の節制を行いました。

しかしながら、卵を食べない期間中も鶏は毎日産み続けるため、たまった卵を無駄にしないために模様を描いて他人に贈るようになったといわれています。

やがて、18世紀になりドイツ人とアルザス地方の住人が卵をチョコレートで覆うようになりました。

19世紀になり、チョコレート製造技術の進歩と銅や鉄製の型を使用するようになり、思い通りにチョコレートの成型が可能になりました。

 

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 Patrick Roger

 

そして現在では、復活祭にはフランス中で卵をかたどったチョコレートが売られるようになったのです。

たまご同様に、多産で有名なウサギも豊穣や子孫繁栄の象徴と考えられ、復活祭が近づくと街中のチョコレート屋さんには鶏と卵だけでなくウサギ型のチョコレートも並んでいます。

家の中や庭にチョコレートの卵を隠しておき、子供たちが探して回る宝探しゲームは、復活祭の定番です。

 

元々は本物の卵に絵付けをして飾ったり、贈り物にしていたのが始まりですが、今ではすっかりチョコレート製の卵が優勢になりました。

 

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 Patrick Roger

 

この伝統的な復活祭のお祝いのために、チョコレート職人が時間と手間をかけて鶏や卵を製造した努力を水の泡にしないためとチョコレート産業への経済効果から、今回のロックダウンでは、チョコレート専門店は生活必需品の販売店リストの仲間入りを果たしたのです。

 

私はキリスト教徒ではありませんが、フランスの伝統に従って家族で食事をして復活祭を祝うために、夫からリクエストされたパトリック・ロジェのチョコレートを購入しました。

ビターチョコレートを食べて健康と美容に役立てましょう。

 

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パリジェンヌのヴァカンス  ブルターニュ地方 ブレア島で過ごす夏休み

「夏のパリは最高! パリジェンヌがいないから!」

 

パリジェンヌは、うぬぼれが強くて生意気で傲慢、その上自分勝手。

フランスでのパリジェンヌの評判は、散々です。

仕事とプライベートの両立で大忙し、時間に追われ、いつも早足で駆けずり回る日々。

パリの地下鉄や病院、学校や郵便局は年中ストライキ

車に乗れば渋滞に巻き込まれること間違いなし。

ストレスだらけで、周囲に配慮をする心の余裕はありません。

夏のヴァカンスを心待ちにしながら、毎日イライラしながらせっせと働いているのです。

 

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パリジェンヌのヴァカンス

夏になるとパリからパリジェンヌがいなくなるのは本当です。

7、8月には、パリの住人の70~80%は、ヴァカンスに出かけるからです。

お世辞にも清潔とは言えない、臭くて不快な地下鉄や、気温が上昇すると息が苦しくなるほどの大気汚染から逃れるために、日常のストレスから解放されるために、パリのアパルトマンから飛び出して、田舎や海辺のセカンドハウスに大移動するのです。

 

「別荘があるなんて、パリジェンヌは優雅に暮らしているのね」

 と思われるかもしれませが、富裕層だけではなく一般のパリジェンヌの家庭もヴァカンスハウスを所有しています。

フランスは、日本のような地震による家屋の崩壊がないため、住宅は大変長持ちです。

ご先祖様から代々引き継がれてきた100年以上前に建てられた、家も珍しくありません。

 

我が家は、毎年フランス西部ブルターニュ地方のブレア島で、夫の曽祖父母の時代から同じ家で、夏休みを過ごしています。

 

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今年は出発直前に車が故障したため、電車で出かけることになりました。

パリ モンパルナス駅から新幹線で3時間、その後ローカル電車に乗り換えて45分でパンポル駅に到着します。そこから港まではバスで15分。さらに船に揺られること10分で目的地、ブレア島に到着します。

 

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運よく満潮時に到着したため、船は陸に一番近い埠頭に着きました。

ブルターニュ地方の海岸は、潮の満ち引きが非常に激しいため、干潮時には、800m離れた桟橋から20分ほど余分に歩く羽目になります。

 

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 干潮時、海岸線は干上がってしまうため、船は遠く離れた埠頭に着きます。

 

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上下の写真は同じ場所の満潮時と干潮時です。

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消防車とトラクター以外は走行禁止のため、島内は徒歩または自転車で移動します。

 

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自転車と手押し車は島の必需品です。

 

ブルターニュはいつも雨

天気予報を見ると、フランス西部はいつも曇りか雨マークがついています。

快晴はとても稀。

もう20年くらいこの島で夏休みを過ごしている私の経験では、確かによく雨が降ります。

でも、実際には、一日中雨が降ることも稀です。

朝起きると雨が降っていても、お昼頃からは、快晴になることも珍しくありません。

逆もあります。庭で気持ちよく日光浴をしていると突然まっ黒な雲が迫ってきて、にわか雨に見舞われることも珍しくありません。

そればかりか、青空にもくもくと湧き出た白い雲の元、突然の雨が降ってくることもあります。いずれも15分くらい待っていれば止みます。

島周辺はいつも風が強く、雲の動きも早いので、天候がとても変わりやすいのです。

そのため天気予報はあまりあてになりません。

 その日、その時の、お天気に合わせて、ビーチに出かけたり、庭の長椅子で読書をしたり…。ヴァカンスなのですから、時間を気にする必要なんてありません。

今日の予定は、お日さま次第。

ストライキもデモ行進も渋滞の心配もありません。

ここでは時間がゆっくりと流れているのです。

 

 

もうひとつのパリ?

ブレア島の人口は361人(1年を通しての居住者)

総家屋数847戸のうち75%は、セカンドハウス。

ヴァカンス中は、家族そろって過ごすため、島の人口が一気に増大します。

その上、一日当たり3700人の観光客が訪れるため、昼間は6000人以上に膨れ上がります。

 

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我が家のお隣さん一家もパリの住人です。

夫は、さらにそのお隣のご夫婦とは、結婚前にはパリでも同じ通りに住んでいるご近所さんでした。

子供のころからずっとこの島で夏休みを過ごしている夫に言わせると、ヴァカンス族の80%はパリから来ているとのこと。

 

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ブレア島は、北島と南島に分かれています。

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北島では、民家はまばらで、今でも手つかずの自然が豊かに残されています。

 

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有機栽培農業や牧畜がおこなわれています。

 

 

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収穫された野菜や果物は、南島の朝市で販売されています。

 

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島の先端からは、英仏海峡を望むことができます。

 

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南島には、港やホテル、海水浴場があります。

さらに中心部の広場には毎日朝市がでて、夏の間中はとても賑わっています。

島中から人々が買出しに集まってきます。

ここでは手押し車が大活躍です。

買い物を終えると、食料品を運ぶだけでなく、途中で歩くのに疲れた子供も乗せて、坂道を登りながら家まで帰っていきます。

普段は、流行に敏感でお洒落なパリジェンヌですが、飾り気のない素のままで、くつろいで過ごしています。

ヴァカンス中は、着飾る必要はないのです。

島には、もちろん美容院もネイルサロンもエステティックサロンもありません。

男性は、髭を伸ばしたままにしている人が多く、日に焼けるにしたがって、ワイルドな魅力が加わります。

 

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我が家では、毎朝、近海で捕獲された新鮮な魚介類と島の有機野菜や果物を購入して、夫が料理をするのが、ヴァカンスの習慣です。

私は、もっぱらあとかたづけ専門です。

 

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生牡蠣やムール貝、オマールや手長海老など海の幸を存分に堪能します。

 




さらに毎年恒例の楽しみは、ブルターニュ地方の伝統菓子 クイニーアマンを頬張ること。

バターたっぷりのサクサクした食感と表面にはたっぷりとカラメルがかけられた濃厚な味わい。毎年必ずお気に入りの店で購入します。

 

 

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ここは誰の家

代々受け継がれている島の家には、それぞれ名前がついています。

都市部の住所のように 番地と通りの名前の組み合わせに体系化されていないので、

表札の名前で、誰の家かわかるようになっています。

 

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KER  TAD-COZ

ブルターニュ語でKerは家のこと。これは「おじいちゃんの家」という意味です。

 

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KER WENNILI ツバメの家。

 

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Les Vagues  波のことです。

海辺の家にぴったりの素敵な名前ですね。

 

 

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この車エビの表札の家は、もちろん 「車エビの家」と呼ばれています。

 

我が家には、最初の家主である曾祖母の名前が付けられています。

 

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バラ色の海岸線

島の海岸線はバラ色の花崗岩で覆われています。

唯一の海水浴場も砂浜ではなく、花崗岩でごつごつしています。

 

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花崗岩でできた海の家。

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満潮時には、海水に浸ります。

大潮のときには、まるで海に浮かんでいるようです。

 

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昔から、家屋の外壁にもこのバラ色の岩が使われています。

 

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夫の仕事の都合で、例年より遅めのヴァカンスでした。

8月の最終週になると、皆がヴァカンスを終えて立ち去り、島は多少落ち着きを取り戻してきました。

 

最後の数日間は、毎朝ビーチを独り占めすることができました。

夫は毎日泳ぎますが、ブルターニュの海水は冷たすぎて、私はもっぱら日光浴のみです。

 

潮の満ち引きが激しく、天候も変わりやすい。

車は走っていないため、空気がとても澄んでいます。

今夏は40度の猛暑に見舞われ、蒸し暑くて寝苦しかったパリから比べると、ここは別世界。このピュアな空気を思い切り吸い込むと、体の中から浄化されるのを感じます。

激しい潮の満ち引きや、突然のにわか雨が、1年間の疲労もストレスもすべて洗い流してくれ、体力も気力も取り戻すことができるのです。

 

パリジェンヌたちは、しっかり英気を養って、またパリに戻っていきました。

来年もヴァカンスを楽しむために、また1年間、忙しい毎日が始まります。

 

フランス西部のブレア島では、日没が遅く、毎晩10時半くらいまで明るいのに慣れていたので、パリに戻ってくると日の暮れるのが早く、今年もまた、夏が終わったことを実感します。

 

 

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島の画家の作品です。

パリジェンヌの必需品 手作りマスクでお洒落を楽しむ

 

随分前の事ですが、女性雑誌にエリザベス女王が腕を痛められて、エルメスのスカーフを三角巾代わりにしていらっしゃる姿が掲載されました。

当時は、「さすがは、女王様」と称賛したものでした。

でもパリではよく似た光景に出くわします。

クリスマス休暇明けや冬休み明けには、スキー場で傷めたと思われる腕をスカーフやマフラーでつっている人をたびたび見かけるものです。

エスニック調だったり、エルメス調だったりと色とりどりです。

若者に限らず、同様にしている年配のマダムに遭遇することも珍しくありません。

確かに、シックな装いに白の三角巾では、せっかくのお洒落も台無しです。

「さすがはパリジェンヌ。怪我をしていてもお洒落の手は抜かないのね」と、

感心したものでしたが、よく考えてみるとそれぞれが手持ちのスカーフを応用しているほうが自然なことですね。

どんな時も自分なりのお洒落を犠牲にする必要はないのです。

 

 

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マスク着用の義務化

 

数年前、フランスのニュ-ス番組では、

「日本では、深刻な大気汚染のためマスクなしでは外出できません」

と、花粉症やインフルエンザ予防のためにマスクをしている様子を紹介していました。

 

私は、真冬気温が零下になると、最寄りの地下鉄の駅まで10分ほど歩くだけでも冷気で胸が痛くなるため、日本から持ってきているマスクをすることがあります。

そのままはずすのを忘れて地下鉄に乗ってしまい、周囲の乗客からの鋭い視線を感じたことがあります。

悪い伝染病に侵されていると思うのか、顔を隠していると何か悪さをたくらんでいると思うのか、もしくは、単に見慣れていないためでしょうか。

 

とにかく、パリの街中でマスクを着用していると好奇の目で見られました。

 

日頃から、家族や友人のみならず、職場の同僚や知人に至るまで、挨拶に頬にキスをしたり抱き合ったりする習慣のあるお国柄のため、顔の半分近くを覆って目の前の相手とのバリア-を築くマスクは、受け入れがたいものなのです。

それだけでなく、フランス語は、日本語に比べて、口を上下左右に巧みに動かして発音する言語のため、マスクの着用が会話の障害になることも関係あると思います。

 

ところが、大変! 

コロナウイルス感染の世界的流行に伴い、パリではマスクの着用が義務付けられました。

外出制限措置が解除された5月初旬は、地下鉄などの公共交通機関に乗車する際や、スーパーマーケットや病院等の屋内のみに限られていました。

しかし夏休みになってから、パリジャン、パリジェンヌの移動や外出が活発になるに従い、若年層を中心に感染者が増加し始めたのを危惧したパリ市は、屋外でもマスク着用を義務付ける措置を発表しました。

 

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 8月15日現在、パリ地図の紫色に塗りつぶされている地帯では、歩行者にマスク着用が義務付けられています。

 

折しも、時には40度に到達することもある、うだるような猛暑が続いているこの時期、熱中症を招く恐れも懸念されることから、

「外にいる時までマスクをする必要があるのか?」

と連日、ニュース番組では医療関係者が討論を繰り広げています。

 

また、使い捨てマスク1枚当たりおよそ60~70円(一時は100円以上の高値でしたが、安定供給のおかげで値下がりしました)

1日2~3枚使用すると仮定すると(湿ってくると効果が減少するため4時間おきに取り換えることが推奨されています)

1ヶ月当たりの出費もばかになりません。

使い捨てマスクの使用が長引くに従い、企業の経費や個人の家計を圧迫していることも問題になっています。

 

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3月のコロナウイルス流行当初は、フランス中でマスクが不足していたこともあり、次第に布製マスクも販売されるようになってきました。

使い捨てマスクよりも経済的。かつ、洗って何度でも使用できるのでエコロジーにも役立つことから次第に布製マスクの使用も一般化してきました。

 

手作りマスクの流行

そして、日本同様にパリでも、マスクの手作りが流行し始めました。

意外に思われるかもしれませんが、パリでは、いまだに街のあちらこちらで昔ながらの手芸専門店を見かけます。

布地や糸、ボタンやファスナーだけでなく、お裁縫に必要なありとあらゆるものが天井に届く棚まで所狭しと並べられています。私は、今のところはボタン付け用の糸を買うくらいですが、レトロな店内で、繊細なレース生地や装飾を施されたボタン一つ一つを眺めていると、手作りの意欲がわいてきます。

手芸は、老後の暇つぶしだなんて、とんでもない誤解をしていました。

来店客は私よりずっと若い女性ばかりです。

 

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余談ですが、ある日自宅周辺を歩いている時に、JANOMEJUKI、 BROTHER の文字が目に留まり、立ち止って店内をのぞいてみると、そこはミシンの専門店でした。

日本製のミシンは、パリでも人気です。

私は小学生の頃とても太っていたので、地元の洋品店ではなかなか可愛い服が見つかりませんでした。洋裁好きの母が、当時はまだ足ふみ式の蛇の目ミシンで手作りしてくれたことを懐かしく思い出しました。


自分のセンスに沿わないものや、他人と同じものを身に着けるのを好まないパリジェンヌは、当然、市販されている青色の医療用マスクに満足できるはずはありません。

お気に入りの布地で作られた手作りマスクを着用することが流行り出したのは、金銭的な事情やエコロジーの観点からだけではなく、おしゃれのためでもあるのです。

毎日洋服を着替えるように、それに合わせて布製マスクの色柄を選ぶようになってきたのです。

今やパリの街中を闊歩するためには、マスクは必需品なのですから、デザインにこだわるのも当然ですね。

 

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マスクの不足が危惧され始めた当初、ルイヴィトン・グループやケリング・グループ(イヴサンローランやグッチを傘下に収める)は、マスクや医療従事者用の白衣の製造に取り掛かりました。

いずれの高級ブランドも、商業目的ではなく病院や高齢者施設への提供を目的とした社会貢献活動です。

 

現在は、品不足は解消されましたが、マスク着用が日常化するに伴い、近い将来ルイヴィトン社のモノグラム模様のマスクやシャネルマーク柄のマスクがバッグと合わせて販売される日が来るかもしれません。

ひょっとすると、次回のパリコレに備えて、もう製造を始めているかもしれませんね。

 

水も滴るいい女 ミネラルウオーターを飲むだけでキレイになれる!?  

 

ちょうどいい具合にマンゴーが熟してきたので、柔らかい果肉をスプンですくって口に含みました。まったりとした甘みと酸味が絶妙なバランスのフルーティな味…を感じることができません。

もう一口食べてみましたが、酸っぱいわけでも苦いわけでもなく何も味がしません。

紅茶を口にすると、こちらは明らかに味も香りも色までいつもと異なります。

コロナウイルスに感染すると、食べ物の匂いも味も感じなくなると報道されています。

毎日食事をしながら、「今日も大丈夫」と自分の健康状態をチェックしているので

「ひょっとしてこれが例のコロナの症状かもしれない」

恐る恐るイチゴも食べてみました。

甘酸っぱい味覚を感じたので、安心しました。

たまたまマンゴーが傷んでいただけのようです。

落ち着いて考えると、紅茶の味については、思い当たることがあります。

私の毎日は、朝から晩までコロナウイルスに100%支配されているので、ついつい疑心暗鬼に陥ってしまいました。

 

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パリの水道水は本当に安全?

パリ市は日頃から、水道水は飲用に適していると公言しています。

コロナウイルスの感染拡大当初、

「水道水から消毒の匂いがする」

「薬っぽい味がする」

コロナウイルスが混入しても大丈夫なように消毒用の塩素の量を増やしている」

とまことしやかな噂が流れました。

パリ水道局は、「パリの水道水は三段階にわたる殺菌消毒を施しているため、いかなる病原菌からも汚染される心配はありません。安心して飲めます。コロナウイルス感染拡大時にも、塩素の量は追加していません」

と発表しました。

水道水の味の変化は、危機下におけるストレスによるものなのでしょうか?

(地方によっては、塩素を増量したところもあるようです)

いくら行政が国民の不安を払拭しようとしても、パリジャン、パリジェンヌはボトル入りミネラルウオーターの買い占めに走りました。

 

 

というわけで、私が長年ずっと飲み続けているボルヴィックが近所のスーパーで在庫切れになってしまい、たまたま残っていたヴィッテルを購入しました。

先ほどの紅茶の味と香りの変化は、ミネラルウオーターの種類の違いによるものなのです。

いくら成分上は飲用に適しているといっても、水道水は塩素を含む上に硬水なので美味しいとは言えません。

パリに来たばかりの頃、そうとは知らずに水道水で緑茶を淹れ、深緑色の茶色に驚いた時のことを久しぶりに思い出しました。

 

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緑茶の比較

左:モンルークーで淹れた緑茶は、きれいな黄緑色、軽い苦味もある爽やかな味

右:水道水で淹れると 色が濃く、強い苦味がでる

 

 

私がボルヴィックを愛飲している理由は、一番口に合うからです。

そのまま飲んでもおいしいですが、紅茶や日本茶を淹れると、色も香りも味もすべてにおいて他のミネラルウオーターとの違いがさらによくわかります。

 

私はめったにコーヒーを飲まないので気づきませんでしたが、コーヒーは硬水で入れると苦味が増すので、好みによって好き嫌いが分かれるようです。

 

水道水で淹れた紅茶

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表面に薄く白いものが浮かんでいます。

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30分後:表面にカルシウム等ミネラル分が浮かんでいるのがよくわかります。



ボルヴィックで淹れた紅茶

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 紅茶の色が明るく透明感があります。

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30分後の状態です。

水道水と軟水で淹れたお茶を比較すると、見た目だけでなくお茶の味も異なります。

 

 

ミネラルウオーターの特徴

スーパーマーケットで販売されている一般的なものは以下の通りです。

Mont Roucousモンルークー:軟水、ミネラル分が少ない。未発達な腎臓に負担がかからないように、乳幼児の水分補給のために推奨されている。

Volvic ボルヴィック:軟水、日本の飲料水に一番近い味といわれています。

Evianエヴィアン:硬水、硬度はあまり高くありません。 日本でもお馴染みですね。

Vittelヴィッテル:硬水、一口飲むと軟水との違いがよくわかります。

Contrex コントレックス:超硬水、モデルが好んで飲む水として日本でも有名。

Hepar エパー: 超硬水、カルシウム、マグネシウムの含有量が非常に多い。

Badoit バドア: 天然微炭酸水、硬水 

Perrier ペリエ: 天然炭酸水、硬水。炭酸の刺激が強い。

 

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硬水と軟水の違い

フランスと異なり、日本の水道水もミネラルウオーターもほとんどが軟水に分類されます。

皆さんの中には、海外旅行先で、水道水を飲んでお腹をこわした経験のある方もいらっしゃるかもしれません。

旅行中の体調の変化や、場合によってはその国の衛生事情も関係してきますが、ひょっとしたら普段は飲み慣れていない硬水を口にされたせいかもしれません。

水中のマグネシウムイオンとカルシウムイオンの含有量が多いものを硬水、少ないものを軟水と分類しています。

 

では、硬水は体に悪いのでしょうか?

いいえそうではありません。

現代人の健やかな生活に必要なミネラル分を豊富に含むフランスのミネラルウオーターは、その健康、美容効果に注目され、最近は日本でも輸入販売されているほどです。

私は、日本で生活していた頃は、便秘症のため、繊維質を多く含む食品をできるだけ食べるように心がけていました。

フランスに住むようになってからは、カルシウム、マグネシウムともに含有量が多く「スリミング・ウォーター」として有名なコントレックスや、さらに硬度の高いエパーの痩せる効果を試すために飲み始めました。

それまで私が飲み慣れていた水と比べると、口に含むとまず味がするのを感じます。

これがミネラルの味。飲み込む際にはのどにひっかるような重みのある飲みごたえのある水でした。

すっきり、さっぱり、喉ごし爽やかな、日本の美味しい水との違いは一口ですぐにわかります。

本当に痩せるのか期待に胸をふくらませ、エパーを飲み続けることにしました。

ところが2日後にはお腹が痛くなり続いて下痢を起こし、私のダイエットは中断になりました。

 

その後はエヴィアンボルヴィック等あまり硬度の高くない水を飲んでいましたが、それでも数か月後には私の便秘は自然に解消されていきました。

これはミネラル分が豊富なフランスの水のおかげだと思っています。

 

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肌に潤いを与える効果?

エステティックサロンのお客様に、

「お肌のために日頃どのようなお手入れをされていますか」と尋ねると

「保湿のために水をたくさん飲んでいます」

とか

「お肌の潤いが足りませんね」とお話しすると

「毎日ミネラルウオーターを1.5リットル飲んでいるのに、足りないのかしら? もっと飲まなくてはいけないわ」

と真面目にお答えになられます。

 

どうやらミネラルウオーターをたくさん飲めば飲むほどと、肌が潤うと信じていらっしゃるようです。

確かに、私たちの体の60~65%は水分で構成されています。

そのうち、毎日およそ2.5リットルの水分を排出しているのですから、生命を維持するためには同量の水分の補給は欠かせません。

1リットル程度は食事から摂取できますから、1日当たり最低でも1.5リットルの水分を摂取するように推奨されているのはそのためです。

 

カルシウムは、骨や歯を形成し骨折や骨粗しょう症の予防する働きがあります。それ以外にも心臓の動きや血液の状態を正常にして高血圧や動脈硬化の予防もしています。

マグネシウムは、体内でのカルシウムの働きを助け心臓や神経の機能を正常に保つ働きをしています。マグネシウムは神経の興奮を鎮める働きもあるので、不足すると些細なことでもイライラするようになります。また疲れやすくなることもあります。

その上、腸内では、水の分子と結びつき便を柔らかくして排便を促します。

私が、超硬水を飲んで下痢を起こしたのも納得できます。

 

便通が改善され規則正しいお通じが得られると体内の老廃物が滞ることなく排泄されるため、体の中からきれいになり、お肌の新陳代謝も高まり、くすみや吹き出物のない色つやの良い肌になります。

ミネラルウオーターを飲み続けると肌がきれいになるのは、事実であることがわかります。

 

昼間、コーヒーや紅茶、清涼飲料を口にする代わりにミネラルウオーターを飲んでいる場合、さらに健康に良い影響があります。

コーヒーや紅茶のようにカフェインを含む飲み物には利尿作用があるので、水分補給をした以上に排泄してしまい、体は水分不足に陥ってしまいます。

また、ほとんどの清涼飲料には、多くの糖分が含まれています。それらは体内に蓄積されてむくみや肥満の原因になります。

職場でランチ後のコーヒーの代わりにミネラルウオーターをコップ1杯、午後、気分転換に缶ジュースを飲むかわりにまた1杯飲むことを習慣づければそれだけで健康状態が改善されるのがわかりますね。

 

私の10年来のエステのお客様の中に、ずっとスリムな体型を維持していらっしゃるマダムがいます。食べ過ぎないように何か特別なことをしていらっしゃるかお尋ねしたところ、

「お腹がすいた時には、まず水を飲むことにしている」とのことでした。

確かにバドアペリエのようなガス入りのミネラルウオーターを飲めば、炭酸ガスによって満腹感が得られて食べ過ぎを抑制することができます。

私は、レストランでの食事の際は、食べ過ぎないためにいつも炭酸水を飲むようにしています。

 

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硬水、軟水 肌に良いのはどっち?

硬水を飲むことで、現代人に不足しているミネラル分を体内に採り入れることのでき、健康維持に役立つことは先ほどお話しいたしました。ダイエット効果も得られる可能性もあります。

さて、お肌に潤いを与える効果は本当でしょうか?

体の中からきれいになれば、当然肌も美しい輝きを取り戻せます。ただし、水をたくさん飲むだけで、肌の表面の水分量が増えるかと聞かれると、エステティシャンの立場からは、それだけでは十分であるとは思えません。

 

硬水は肌に直接触れると、肌荒れや乾燥を引き越します。

洗顔や洗髪、シャワーで全身を洗ってそのままにしておくと、肌はツッパリ、髪はパサパサになり、いつの間にか脚の皮膚は粉が吹いたようになってしまいます。

透明のガラスコップの表面にいつの間にか水滴が白く残り曇ったガラスになってしまいます。お鍋の底も白くなってしまいます。

 

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これは、硬水の中に含まれているカルシウム等のミネラル分が付着しているからなのです。お肌にも同様のことが言えます。しっかりとタオルドライした後すぐに、化粧水や乳液等でケアをしないと、すぐに乾燥してしまいます。

日本で生活していると、水はナチュラルでニュートラルなものという認識でしたが、フランスではそうではないのです。。

内側からだけでなく、外側からも肌を保湿し、栄養分を与え、外的刺激から保護するために、化粧品を使って日々のお手入れも行ってこそ、潤いのある美しい肌を保つことができるのです。

 

パリでは、日本女性の肌はキメがそろい、すべすべの陶器のように美しいと評判です。日本の軟水のおかげもあるでしょう。

年齢とともに肌の水分量は減少します。そのため若いころと同じようにすべすべ肌に見せるためのベースメイクを続けていると、午後からは小じわの目立つ、疲れた顔になってしまいます。

成熟した肌は、ファンデーションを丹念に均一にのばしても、時間がたてば肌は乾燥し、パウダーの粒子がシワの間に入り込み、実際のシワをさらに目立たせてしまうこともあります。

朝お化粧を始める前にまず、肌の保湿をしっかり行いましょう。

特に、シワの目立ちやすい目元は、指の腹で軽くマッサージする要領で専用のクリームをしっかり塗布しましょう。次に、気になるシミはコンシーラーを部分的に使用し目立たないようにしましょう。顔全体は、ファンデーションかパウダーでできるだけ薄く覆いましょう。

パリのマダムは、ファンデーションを薄めに塗って、陶器肌よりも少しテカリのあるしっとり濡れた感じの肌作りをしています。お肌の水分量は年齢とともに減少しているのを承知しているので、乾燥してしぼんだように見せないために、しっとりとふっくらした肌に見せるように工夫しています。

まさに水も滴るいい女肌のことです。

 

もし、午後から目元の疲れが目立ってきたら(20代ではないのですから仕方ありません)、軽くコットンで肌の表面の汚れをふき取ってから目元の部分だけアイクリームをつけ足してください。ファンデーションをこってり塗っていないので、お化粧直しも素早く簡単にできますね。

これだけでも、生き生きした目元を一日中保つことができます。

ぜひお試しください。

 

結局、硬水と軟水どちらが私たちをきれいにしてくれるのでしょうか?

日本の水は軟水なので、生活には、水道から流れ出る軟水を使用し、飲料水はお気に入りのミネラルウオーターを常備しておくと、体の中からも外からも美しくなれること間違いありません。

 

私は、ボルヴィックをメインに、紅茶はボルヴィック日本茶はモンルークー、食事の時は硬水の炭酸水を愛飲して、バランスよくミネラルを採り入れるようにしています。

 

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フランス外出制限の今、自分を見つめなおす

 

フランスで外出制限措置が施行されてから1か月が経過しました。

本日(4月16日)753人、これまでの合計17,920人の死亡(病院と高齢者施設等)が発表されました。現在も3万人以上が入院中で、パリとその近郊の病院にはまだ病床の余裕がない状態が続いています。

コロナウイルスの威力は、当初の予想をはるかに超えるほど恐ろしいものです。

毎日毎日、数百人もの命が失われています。

お亡くなりになられたひとりひとりには、それぞれに深い悲しみに沈むご家族や友人知人がおられることでしょう。

信じがたいことですが、これは今のフランスの現実です。

 

外出制限や収入の減少は、精神的にも経済的にも私たちの生活に支障をきたします。

でも、日本の皆さま、どうか今しばらくは外出を控えて、くれぐれも感染を拡大させないようにご用心してください。

 

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一日中自宅にいると、物音でアパートの住人の行動がわかります。

隣は、小さい子供が3人の5人家族なので、昼間退屈している子供たちがアパート内で飛び跳ねたり走り回ったりしているのが伝わってきます。

外出できないので仕方ないですよね。

 

上階からは、マダムのハイヒールで歩き回る音がカツカツ響いてきます。以前から時々聞こえていたのですが、私も彼女も昼間はほとんど留守にしているのでそれほど気になりませんでした。朝からパンプスを履き、掃除機をかける時もカツカツ動いています。

ご存知のように、フランスは自宅でも土足なのです。帰宅後はスリッパに履き替えるご家庭もありますが、基本的には靴を履いたままです。

物音が階下に響かないようにと、床に絨毯を張ることもできますが、近年はフローリングが人気のため、靴音が聞こえやすくなっています。

上階のマダムは、普段の外出と同様に一日中パンプスを履いて過ごしているようです。

 

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マクロン大統領夫妻   pinterest.com

 

 

フランスと日本の違い

帰宅後や休日にスウェット上下で過ごす習慣はありません。スウェットウエア=パジャマと思っている人も少なくはないでしょう。

外出時も自宅でも同じ服装をしています。

パリに来たばかりの頃、16区の高級住宅街にあるアパートに住んでいたことがありますが、同じ建物のムッシューは、毎日曜日の朝、ジャケットを着て、ネクタイを締めて新聞とパンを買いに行かれていました。これも長年の習慣なのでしょう。

 

私は、家から出る直前に靴を履き、帰宅後すぐにスリッパに履き替えます。

一日中靴を履いているのは、いつでも外出できるようにスタンバイしているということですね。

パリジェンヌは、休日くらいは、リラックスした服装でだらだら過ごしたいと思わないのでしょうか?

その答えは、シャネルの名言にあります。

 

« Ne sortez jamais de chez vous, même pour cinq minutes,

sans que votre mise soit parfaite, bas tirés et tout,

c’est peut-être le jour où vous allez rencontrer l’homme de votre vie. »

                                                                                                 Coco Chanel

たとえ5分でも、ストッキングをしっかり引き上げて、申し分のないように身なりを整えずして、外出してはいけません。

その日、あなたは運命の男性に出会うかもしれないのですから    

                                                                                              ココ・シャネル

 

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 madame.lefigaro.fr

 

フランス女性に人気の高いファーストレディ、ブリジット・マクロン夫人もいつもハイヒールを履きこなしています。

パンプスを履くと、背筋がピンと伸びてスタイルが良く見え、洋服もきれいに着こなせるので、気分がいいのはわかります。

でも、60代70代になってからもそうあり続けるのは容易なことではないと想像できます。大統領夫人に限らず、フランスのマダムはいくつになっても特別な外出時にはドレスアップをしてパンプスを履き続けています。

室内でも土足文化の国では、あたり前に身についた習慣なのでしょう。

美容の観点からは、美しく年齢を重ねるための秘訣の一つだと思います。

しかしながら、今回のコロナウイルス感染を鑑みると、家の内と外の境界がはっきりしている敷居のある日本の生活習慣は、外からの病原菌を遮断することができ、衛生的なことがわかります。

 

 

生活必需品以外の商店はすべて閉店

外出制限の期間中は、美容院も閉店のため、私は2か月以上毛染めをしていません。

普段は生え際が伸びてきたらリタッチをするので、これほど白髪が多くなっているとは思いもしませんでした。

大鏡でよく見ると、分け目だけでなく内部にも部分的に白髪が密集して生えていることに気づきました。

制限が解除されるまでこのままにしていると、グレイヘアに近づきそうです。

街でグレイヘアのマダムを見かけると、年齢相応のナチュラルな魅力にあふれ憧れます。彼女たちの髪は元の色が栗色なので、グレイよりももう少し薄い色でプラチナカラーに輝いています。日頃のヘアケアの賜物でしょう。

 

ところで、白髪って、ふつうの毛よりも目につきませんか?

白は膨張色なので、目の錯覚でそう見えるだけかとも思っていましたが、実は、白髪の断面は扁平になる傾向があるため、円形の黒髪より太く見えるのです。その上、伸びも早いので目立つのです*。

白髪が、まだ数えるほどのうちは、汚いもののように引き抜いていました。

徐々に増え始め、いつも抜いているとそこだけ薄くなるのが心配になってきてからは、白髪染めをするようになりました。

その数がこれほど増えて、改めて自分の毛髪の自然な状態を直視すると、白髪に対して抱いていたネガティブなイメージが薄れてきました。これが本来の私の髪色なのですから汚いもののように扱うなんてできません。

本来、白色は、ウエディングドレスや白いページのように、これからどんな色にも染めることができる、将来への可能性を象徴する色のはずです。

髪の毛だからと言って老いと結びつけて嫌われ者にしなくてもいいのです。

自分の好きな色、明るい栗色や美しいプラチナカラーにも簡単に染めることができるチャンスがようやく巡って来たと、前向きに考えてみましょう。

*2004年 資生堂北里大学が行った研究結果により科学的に証明済みです。

 

お互いに感謝する

今フランスでは、美容院やエステティックサロン、レストランやカフェ、映画館、美術館や劇場も、生きるために不可欠でない商業活動はすべて中断されています。

確かに、生き延びるだけなら不必要なのは納得できます。

けれども、それらのものは快適な生活を営むためには、欠かせません。

私の日常生活にかかわりのある1件1件の商店やサービス、レストランや文化活動のそれぞれがいかに生活に潤いを与えてくれていたのか、さらには晴れた日に気の向くままにぶらぶらと散歩する自由の大切さを認識せずにはいられません。

外出が解禁になったあかつきには、それらに感謝し心ゆくまで味わいたいと思います。

毎晩8時になると、感染者の命を救うため、自らも病に倒れるかもしれないリスクを負いながらも身を粉にして治療に専念してくれている医療関係者に謝辞をこめて、フランス中がアパートのテラスや窓越しから拍手を贈っています。

また、スーパーのレジ係やパン屋さん、市のごみ収集車の作業員に至るまで私たちの生活維持のために働き続けてくれている労働者への感謝の言葉も耳にするようになりました。

個人主義と評されることの多いフランス人ですが、コロナ危機に直面して、これまであたりまえだったことひとつひとつの大切さが身にしみ、周囲への感謝の気持ちがあふれています。

 

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外出制限下のパリ、いつもは混雑している凱旋門の周囲も閑散としています。

 

会生活の重要さ

21世紀になり、インターネットの活用範囲がさらに広がり、パソコンさえあれば不自由しない世の中になって行くものと思っていました。

ネットショッピング、テレワーク、コロナ感染拡大のおかげで医者の遠隔診療も一気に普及しました。どんどん便利になっています。

外国で生活していても、日本の家族と顔を見ながら話ができます。

それにもかかわらず、外出が禁止されると日々の暮らしがこれほど窮屈に感じられるとは、バーチャルではなく生きた人と人との社会生活が必要なことを実感させられました。

ソシオエステティシャンとして高齢者施設で美容ケアに携わっていると、外の社会を運んできてくれると喜ばれることがたびたびあります。

女子刑務所に出向いて美容ケアをしているソシオエステティシャンもいます。

これまでの私は、それがヒューマニズムにあふれる行為であるのはわかりましたが、刑務所の中に社会生活を持ち込む意義には賛同できませんでした。

でも今なら、社会から閉ざされた塀の中で暮らしている受刑者が、生活の中に社会性を感じられることの大切さを理解することができます。

 

ここでもうひとつ、今の私を励ましてくれるシャネルの言葉を引用させていただきます。

 

« La beauté commence au moment où vous décidez d’être vous-même. »

Coco Chanel

 

あなたが自分自身のままでいると決めた時から、美しさは始まるのです。

ココ・シャネル

 

 

私は、この1ヶ月間、お化粧もお洒落もしていません。買い物に出るときに、少しは気を遣おうとも思いますが、顔をマスクで覆っているのでメイクしても仕方ありません。クリーニング店も閉店のため、自宅洗いできる洋服ばかり着まわしています。

社会から隔離され、一日中自宅に閉じ込められて、他人の目が届かない日々をずっと送っていると外見を気にしなくなってしまいました。

そのかわりに、毎朝鏡を見ながら、たっぷりと時間をかけてフェイシャルマッサージをしています。

ふと、「この鏡の中の私は誰?」と自分に問いかけてみたくなりました。

 パリ在住日本人、既婚、エステティシャン…。

私たちは日頃、職場でもプライベートでも自分に与えられた社会的役割を果たしています。

職場で重要な役職についている人は、その責任が生活の中で大きな比重を占めていることでしょう。

妻であり、もしくは母親でもある家庭での役割を担っている女性もいます。

そしてあなたは、恋人や友人にとっての大切な誰かに違いありません。

それらすべてかもしれません。

いつも周囲の期待に応えるように、周囲から評価されるように精一杯努力していることでしょう。

それらの役割から解放された素顔のあなたはどんな女性なのでしょうか?

冒頭のシャネルの名言とは矛盾しているようにお感じになるかもしれませんが、「自分自身のままでいる」ということは、何もしないことではありません。

他人の目を通してではなく、自分で自分に向き合い、自分はどんな女性なのか、まだ隠れている本来の自分の魅力を引き出さなくてはいけません

美しくあるとは、年齢や流行、周囲の目に惑わされて、無理することではないとシャネルは教えてくれているのです。

自分の好みや気分に合うものを身に着けて、自分の個性に自信をもって生きていく女性はきっと美しいにちがいありません。

 

 

外出制限措置の延長

マクロン大統領が5月11日まで外出制限措置の延長を宣言しました。

 

隔離期間中は、髪を染めずにこのまま自然の成り行きを見届けたいと思います。

そして社会生活に復帰することが決まったら、その時には染めるかそれともグレイヘアに移行するのか決めたいと思います。

 

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エッフェル塔の周囲も人通りがありません。     france3-regions.francetvinfo.fr

パリジェンヌ 意外に毛深いムダ毛のお手入れ事情

まずはじめに、

フランスでは、外出制限措置が制定されてから18日目の本日、588人が新型コロナウイルス肺炎により亡くなりました。合計6507人になります。

今週に入ってから、日々新たに人工呼吸器が必要な重症患者の人数は、ほぼ横ばいになってきたため、今回の危機もピークに近づいてきたのではとの希望的観測が聞かれるようになりました。

 

マクロン大統領が、「フランスは、コロナウイルスとの戦時下です」と外出制限令を発動した当初は、私は、この見えない敵との戦いに、今まで経験したことのない恐怖を感じました。

 

私の夫は、パリから車で1時間半の中部地方で高齢者介護の仕事に就いていますので、そちらにも住居があります。中部地方では感染者は増大していません。急速に感染が拡大しているパリで孤立するのは心細いので、夫に合流しようかどうかずいぶん迷いました。

政府からの命令は 「自宅にとどまること」

このウイルスの恐ろしいところは、自分が感染しているかどうかわからないことなのです。風邪を引いたような軽い症状で終わる人もいれば、何の症状も出ない人もいるのです。ところが、一旦感染してしまうと、他人に感染させる威力が計り知れないのです。

私は元気なつもりでも万が一感染していた場合、私は夫に移してしまい、そればかりかパリから地方の町に病原菌を運んでしまうことになるのです。

大げさな話ではありません。

それほどのリスクを冒すわけにはいきません。

結局、一人で残ることにしました。

 

TVのニュースで映し出される病院の緊迫した様子や、毎日19時に発表される新たな死者の人数に、涙があふれ出て、体の震えが止まらなくなることもありました。

恐ろしさのあまり、パリのアパートから1歩も外出できない日々が続きました。

 

病院勤務(心理カウンセラー)の知人に電話すると、

「救急病棟に搬送されてくる高齢者のためには、人工呼吸器は残っていないの。本人ももう助からないことを理解しているから、最後に一目家族に会いたいと涙を流しながら懇願するんだけど、面会禁止のためそれさえもかなわず亡くなっていくのを目にすることが耐え難い」と精神的に疲労困憊していました。

 

約2週間が過ぎ、私はやっと平静さを取り戻してきました。

冷蔵庫が空になってきたので、必要に迫られてスーパーに行ってきました。

長い行列もなく、買い物を済ませて帰る客と入れ替わりに一人ずつ中に入ります。売り場の入り口では、警備員が来店客一人一人に消毒ジェルを1プッシュずつ塗布し、両手を殺菌してから買い物を始めます。

野菜や果物は各自が好きな量を袋に詰めて購入するシステムなので、皆の手が消毒済みだと一安心です。

 

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ところで、フランスと言えばフランスパン。

よくパリジャンが長いバゲットをむき出しのまま小脇に抱えた姿のイラストを見かけますが、今でもあんな感じです。

コロナウイルスの感染がこれほど騒がれていても、相変わらずバゲットを手づかみで袋に入れるパン屋さんもあれば、例え手袋をはめていても、レジで現金を触ったその手でパンをつかんでいます。

また、バゲットは長方形の紙袋から半分はみ出した状態でそのまま持って帰ることになります。私は以前から気になっていたので、丸ごと入る袋を持っていくのですが…。

習慣だから仕方ないのでしょうね。

日本ではありえませんね、パン屋さんでは必ずトングを使いますよね。

日本人は日頃から手洗いを怠らないし、マスクをする習慣もあり、大変清潔な国だとつくづく思います。

ウイルス感染の拡大を防ぐことのできる国民性を誇らしく思います。

でも、ここで油断しないでください。

どうか今しばらくは外出を控えて、くれぐれも感染を拡大させないようにお気を付けください。

フランスのようにならないように。

 

 私の気持ちも落ち着きましたので、ブログを更新いたしました。

最後までお読みいただければ幸いです。

2020年4月3日

 

 

パリジェンヌ 意外に毛深いムダ毛のお手入れ事情

 

Je ne peux pas peindre un ange car je n’en ai jamais vu !

Gustave Courbet

 

私は天使を一度も見たことがないから描くことはできない

ギュスタヴ・ クールべ

 

パリ オルセー美術館が所蔵している、フランス写実主義(リアリズム)の画家、ギュスタヴ・ クールべの作品 「L’Origine du monde 世界の起源」を ご覧になったことがありますか?

女性の胴体部分、とりわけ女性器を詳細に描写している、猥褻か?芸術か? 21世紀になっても見るものに衝撃を与える作品です。

フランスでは、当然のように芸術として容認されていますが。

 

2011年に、フランス人教師がFacebookに投稿すると、一方的にアカウントを停止され、「表現の自由を侵害された」とフランスでは裁判に発展しました。そのことが世界中で報道されたので、記憶にある方もいらっしゃるかと思います。

 

私は20年前、オルセー美術館で作品を鑑賞後、ミュージアムショップでこの作品のポストカードが販売されているのを見つけた時には、いささか驚きました。

ルノアールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」に次いで2番目によく売れています。

 

ところで皆さんは、このアンダーヘアからは、どのような女性を想像しますか?

 

フランス人女性も毛深くて、しかも毛色も濃くて日本人のとあまり変わらないのね!というのが私の第一印象でした。

 

顔が描かれていないので、長らくモデルはクールベの当時の恋人、アイルランド人のジョアンナ・ヒファーナンと想像されていました。肌の色と乳首の色から白人には違いないでしょうが、しかし彼女の頭髪の赤毛と一致しないという疑問を抱く声もありました。

必ずしもアンダーヘアと頭髪の色は同じとは限りませんが、違いすぎますよね。

 

この写実派の画家が、下半身を綿密に描きながらアンダーヘアだけ実物と違う色を塗ったとも考えられません。モデルの正体は不明のまま時が過ぎました。

近年になって、この作品を依頼したオスマン帝国の外交官 ハリル・シェリフ・パシャの当時の愛人、オペラ座バレリーナのコンスタンス・クニョーであることがわかりました。

 

バレリーナなのに、アンダーヘアのお手入れしていないの? 

そんな考えが私の頭をよぎりましたが、作品が描かれた1866年当時はそれが普通だったのかもしれません。

20世紀初めまでフランスの上流階級の女性たちの間では、腋毛を処理することさえ猥褻な行為で、貞淑さに欠けると考えられていました。

今とは大違いですね。

冬期でも、太陽を求めて南国にヴァカンスに出かけることもありますし、日照時間の短いこの時期こそ、コンサートやオペラなどの夜の外出やホームパーティにドレスアップして肩や腕を出したドレスを身に着ける機会も増えますので1年中フランス女性のムダ毛のお手入れに抜かりはありません。

 

現在では、冬でもわき毛を生やしたままにしているのは匂いの元になるので、不潔の代名詞になっています。

 

エステティック専門学校の実技カリキュラムの中で一番時間を割いてみっちりと技術を習得させられたのは、ワックス脱毛でした。一番需要があるからです。

今でもエステティックサロンで全体売上げの20~25%を占めています。

 

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顔、腕、脇、脚そしてビキニライン、毎週毎週、相モデルになって練習に励みました。

ムダ毛はそうすぐには生えてきませんので、他のクラスの先生にも授業の合間に協力していただき腕を磨きました。

 

近年は、美容外科医によるレーザーでの永久脱毛も一般的になってきたとはいえ、それでもいまだにヴァカンス前になると街のエステティックサロンは脱毛の予約で大忙しです。

 

フランス女性の5人に1人は金髪です。

白人女性の肌は私たちよりもずっと色白で、瞳の色も薄いので、白い肌に薄い色であまり目立たないムダ毛を想像しますが、実際にはそうでもないのです。

スウェーデン人やフィンランド人は人口の80%以上は本物の金髪ですが、生まれながらに金髪のフランス女性はむしろ珍しく、52%は、脱色によるものなのです。

大半のフランス人の頭髪の色は、栗色に分類されます。

なので、白い肌には栗色のムダ毛がかなり目立ちますね。

そればかりか、Vラインはムダ毛が太ももまで広範囲にわたっている場合もあります。

 

いくつになってもセクシーなランジェリーにこだわるフランス女性。

パンツやボディラインに沿った服をエレガントに着こなすために、下着のラインが響かないTバックショーツを身に着ける女性が多く、当然1年中ムダ毛のお手入れは欠かせません。

お洒落なタイツやガーターベルトで止めたストッキングは身に付けますが、肌色のパンティストッキングをはくよりは生脚を好むので、なおさら脚の脱毛も大事です。

 

年齢に関係なく、つねに恋愛にスタンバイのこの国では、あたり前ですね。

 

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フランスのエステティックサロン予約専用WebサイトTreatwellによるデリケートゾーン脱毛の集計(2018年7月)では、

 

1位 トータル 41%

2位 ブラジリアン (ハイレグライン) 37%

3位 地下鉄の切符形 (チケドメトロ)16%

4位 クラシック 6%

パリジェンヌの場合、全脱毛をしている女性は、全国平均よりも26%多い 67%

18歳-24歳の女性では、72% がフル脱毛をしています。

かつては、パリジェンヌの間では、チケドメトロと呼ばれるパリの地下鉄の切符のように細長く残すのが流行っていましたが、いつの間にか主流は全脱毛に移ったようです。

ヴァカンス先で、ミニマムの生地で覆われただけの肢体に余すことなく存分に陽射しを浴びせるためには、当然のことでしょうね。

白色や黄色のビキニを着た時にも心配いりませんね。

 

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ちなみに、パリのエステティックサロンでのワックス脱毛の価格はおよそ以下の通りです。

脇  20€

腕  30€

脚  40€

脚 膝下 30€

Ⅴライン クラシック(下着のライン)20€

     ブラジリアン (ハイレグライン)30€

     トータル 40€

毎月9.90€の会費を払えば、いつでも予約なしで格安料金で脱毛を受けられるBody Minuteというフランチャイズエステティックサロンがフランス中に450店舗あり、さらに拡大中なことからも、フランス女性がどれほどムダ毛を毛嫌いしているかわかりますね。

ところで、なぜいまだに、ワックス脱毛というこの伝統的な方法に頼る女性が後を絶たないのでしょうか?

 

脱毛用のワックスをヘラで毛の流れに沿って塗り、数分後固まったワックスを毛の流れとは逆方向に一気にはがします。その際に、体毛を力で無理やり引き抜く原始的な方法です。素早く広範囲の脱毛が片付くのでとても便利です。ベテランのエステティシャンに頼めば、あっという間に終わります。

 

レーザー脱毛とは、黒色や濃茶色に吸収される波長のレーザーを皮膚に照射することによって、毛根や毛穴の奥にある毛を生やす組織を破壊する方法です。そのため、永久脱毛が可能です。

しかし金髪や白髪には効果がありません。また、黒い肌や日焼けした肌には、その色に反応してしまうので施術はできません。

友人は施術時に黒い下着を身に着けていたため、レーザーが下着の黒色に反応してしまい火傷してしまいまいました。(施術者のミスですが)

私たち日本人は、明るい肌色に濃い色の体毛なので、レーザー脱毛はとても効果的ですが、もともと金髪の白人の場合には適していません。

そして日焼けしていない秋から冬にかけて、5~8週間おきにせっせとクリニックに通わなければいけませんが、春先になってから慌ててももう間に合いません。

それらの理由から、いまだにいつでもできるワックス脱毛が重宝されているのでしょう。

 

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美容クリニックでの医療レーザー脱毛の価格は、ワックス脱毛とは比較にはなりませんが、こちらは、5~8回で永久脱毛ができます。

わき 50~75€

腕  120~150€

脚  200~400€

脚 膝下 150~175€

Ⅴライン クラシック(下着のライン)60~120€

     ブラジリアン (ハイレグライン)75~150€

     トータル 100~200€

医療レーザー脱毛の場合は、初回診察時に、医師が個人の毛質や毛量に応じて金額と回数を見積もります。費用はかなり個人差があります。

 

施術の1時間前に麻酔効果のあるクリームを塗り、痛みを和らげますが、それでもVゾーンのように敏感な部分はかなり痛みを伴います。

私は、上唇の上、鼻の下の部分も試したのですが、あまりの痛さに1度で挫けてしまいました。再度トライしたいと思っていますが、それだけのためにクリニックに行くのもおっくうなので、ついつい後回しになっています。

 

 

フランスではウオッシュレットが普及していないため、衛生面からデリケートゾーンの全脱毛をしたくなりました。でもその前に日本の状況を見てから決めることにしました。

一時帰国の際には必ず何度も温泉に行き、アカスリとマッサージをうけ、心身の疲れをいやすのを楽しみにしています。湯船に浸かっていると自然と他人のアンダーヘアが目に入ってきますが、これまでに一度も全脱毛をしている女性に出会ったことがありません。

私だけが無毛の状態では周囲の視線にさらされて恥ずかしい思いをするのでは?と危惧して今のところはまだ残しています。

 

ところで、がん治療の副作用で髪の毛が抜け落ちてしまうことがあるのはご存知かと思いますが、実はそれだけではなく眉毛や睫毛、陰毛まで抜け毛が生じることもあります。

病院で出会う患者さんから、

「子供みたいで、女性としての魅力を失ってしまったようで自信をなくした」

「パートナーにこんな姿を見られたくない」

と落ち込んでいる声を耳にします。

せっせと脱毛に通う女性が多数のフランスですが、本人の意思に反して体毛を失ってしまうのはつらいものなのですね。

女心はとてもデリケートで複雑なのです。

 

フランス家庭の常備薬 BIAFINE

最後に、フランスでは誰もが知っている塗り薬をご紹介します。

放射線治療による紅斑、軽度の火傷や脱毛後の赤くなった肌の炎症を鎮めるために使用します。

日焼け後のケアのため、ヴァカンスの必需品でもあります。

93gのチューブは4~5€、186gは6~7€とお値段もお手頃です。

夏休みが近づくと薬局には山積みにされています。

脱毛後のヒリヒリした肌にも、厚目にしっかり塗りこみます。

処方箋なしでどこの薬局でも購入できますので、フランス旅行中に思いがけず日焼けをしてしまった場合には、ぜひお試しください。

 

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