千代に八千代にパリジェンヌのように美しく

パリのエステシャンがあなたに伝えたい、年を重ねても美しいパリジェンヌのきれいの秘訣

フランス コロナウイルスとの戦争突入 マルセイユ石けんが国民を救う?!

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 (この記事は3月18日現在の状況です)

フランスでは、3月17日正午から15日間の外出制限措置が施行されました。

 

数日前、日本人の知人は、道端で

「ウイルス、出ていけ」

とののしられたとショックを受けていました。日本人も韓国人も中国人もすべて同様にみなしての罵倒でしょうが、これほど衛生観念が強く清潔な日本人をばい菌扱いするなんて、ひどい誤解ですよね。

 

パリでは、コロナウイルス感染は、アジアの問題との認識だったのです。

 

お隣のイタリアからは毎日毎日危機的状況が伝わり、先週からもうすでに外出が禁止されているのに、フランス政府はどうしてこんなに国民を油断させているのか?と気がかりでした。

フランス人もイタリア人同様に、挨拶にハグや頬にキスをするのが習慣、人によっては3回も4回もキスを繰り返しています。

明日は我が身と思わなかったのでしょうか?

平常時、フランスとイタリアは自由に行き来できるので、コロナウイルスの感染がフランス側でも蔓延するのは時間の問題だったのですが。

私の周囲のフランス人は、

「フランスの医療はイタリアよりも優れているから大丈夫」

と勝手な自信を持っています。

私のサロンのお客様の中にも

コロナウイルスなんかに負けないわ。どんな時でも私たちの自由な生活が制限されるなんて許さないわ」

エステ後、レストランで食事、ショッピングに出かけて行かれました。

「病気を恐れて外出を控えるなんて馬鹿げているわ」

とまで言い放たれました。

 

あの2015年11月のパリ同時多発テロ事件の後も

「テロリストなんかに屈したりしない!」

と、わざとカフェのテラスに陣取って挑発的な態度をとったり、

「文化を衰退させてはいけない」

とあえて劇場やコンサートに足を運んだ、パリジェンヌやパリジャンの勇気ある行動を思い出します。

 

私は危険が迫っているかもしれない時には外出を控えますが…。

 

以前のブログで取り上げていますが、例えガンで乳房を切除しても、治療の副作用で頭髪がすべて脱毛してしまっても、美しくあることを決してあきらめない、つねに前を向いてポジティブに生きるフランス人の精神力には常々感心させられます。

 

でも、コロナウイルスには用心するに越したことはないと思いますが。

もっと警戒しなくてもいいのかしら?と心配していたのは私だけではないはずです。

 

フランス政府は、国内にマスクのストックが少ないことから、医療関係者に行き渡るようにするため

「病人以外はマスクをする必要はありません」

消毒ジェルも品切れが続いているので、

「外出から戻ったら、石けんで手を洗うようにしてください」

マルセイユ石けんで手洗いをすれば十分感染を防ぐことはできます」

と毎日のようにテレビで情報を流しています。

 

予防策としては、保菌者からウイルスに感染しないために、他人と1m離れることを強調しています。

 

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スーパーマーケットでは、間隔を取って整列し、順番に一人ずつ買い物をしています。

 

 

普段は石けんで手を洗わないの?

フランス人は、トイレの後も手洗いしないのは有名な話。

体も毎日は洗わない人も珍しくありません。

 

新幹線のトイレに手洗い洗剤がきれていたり、水がチョロチョロとしか出ないなんてこともあるのです。

 

というわけで、私の行きつけのスーパーではトイレットペーパーやパスタの買い占めに加えて、石けんの棚がきれいに空になっていました。

 

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                                                                                                    Lesecho.fr

 

食料品は、国内自給率100%以上を誇っているので、数日後には売り場に補充されると思われますが、マスクやジェルは、国民全員には行き渡りそうにありません。

 

休校の決断

3月12日(木)夜、マクロン大統領が国民に向けてテレビ演説を行い、感染拡大を防止するため、幼稚園から大学まですべての学校を翌週から休校にすることを発表し、70歳以上の高齢者や持病のある人にできる限り自宅にとどまるように呼びかけました。

 

しかし、この時点でもまだ、なぜ感染の広がっている東部地域だけでなく全国的に休校にするのか? 納得できないフランス人もいました。

男女ともに生涯働くのが当り前のフランスでは、学校が突然休校になると、その間誰が子供の面倒を見るかが大問題になるので、

「なぜそこまでしなくてはいけないのか?」

困惑を隠しきれない、いえそれ以上、仕事への影響に怒りを隠し切れない人たちもいました。

 

ところが、その数日後の3月15日(日)の市町村議会統一選挙は、予定通り実施することが宣言されました。

 

さらに、3月14日(土)夜、フランス政府は、ウイルス感染拡大に伴い警戒レベル第3段階に引き上げを発表しました。それに伴い、同日0時以降、カフェもレストランも映画館も…生活に必要不可欠でない場所はすべて閉店させられることになりました。

 

しかしながら、民主主義の名目で、日曜日の選挙の投票は中止されませんでした。

 

外出はOK?

このちぐはぐな発表に、勘違いしたフランス人も多く、外出は自由との考えから、小春日和の陽射しの心地よい日曜日、レストランもカフェも閉店、映画もコンサートもすべて中止のフランスでは、皆がこぞって戸外に出かけ、公園やセーヌ川沿い、海岸では、友人同士や家族で日向ぼっこに興じ、大変な賑わいとなってしまいました。

日光浴がコロナウイルスの殺菌に役立つというデマも流れたようです。

 

長く暗い冬の終わりがやっと見えてきたこの時期、少々肌寒くても、太陽の陽射しには抗うことはできません。

それだけでなく、自分たちの外出の楽しみを奪われたフランス人の権力者への抵抗の表れでもあるでしょう。

 

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                                                                                                             Actu.fr

そんな状態を見過ごすわけにはいきません。

 

ウイルスを広めているのはあなたたち

政府は、「ウイルスはひとりでに拡散していくわけではありません。ウイルスを広めて回っているのはあなたたちなのです」と怒りをあらわにしました。

 

翌日3月16日(月)、再び、大統領のテレビ演説が予告されると、ついにイタリアのように外出禁止令が出されるとのうわさが広まりました。

 

私が水曜日に予約を入れていた医療センター内の歯科医の診察はキャンセルになりました。次は最短でも1か月後とのこと。理由を尋ねると、センター内の二つの階を占める歯科部門は明日からすべて救急病棟に変えられることになったとか。

 

パリの救急病棟責任者が、

「まだ病棟に余裕がありますからパニックにならなくても大丈夫です」

とテレビでパリジャンやパリジェンヌを安心させているのを耳にしたばかりなのに。

 

フランス国内で一番感染者が多い、東部アルザス地方の病院では、70歳以上の患者さんには(機器の不足のため)人工呼吸器は使用しないというニュースが流れ、

「70歳以上の方はコロナに感染して肺炎で入院したらもう病院から生きては出られない」とご家族は理解しなくてはいけませんと報道されました。

 

その上、職場の同僚からは、パリ警察署からの情報として

「明日夜から一切の外出は禁止。今後45日間とどまる住居を一か所に定め、明日中に移動すること」

というメッセージが送られてきました。

 

病院に勤める友人からは、

「もうこれ以上は患者さんを助けられない。もう限界」

という悲鳴のようなメッセージが。

何かとんでもない危機に直面していることを感じ背筋がぞっとました。

 

夕方、かかりつけ医師の診察に行きその話をすると、

「パリの病院は、今日の午後から外来はすべてキャンセルして緊急態勢に入りました」とのこと。

 

本当に45日間外出禁止になるかも?

外に出ると、パリから脱出するためにスーツケースやリュックを背負って、駅に向かっている人の姿が目につきます。

パリの狭いアパートに閉じ込められるよりは、地方の実家に身を寄せる方を選んだのでしょう。

海辺のヴァカンスハウスのレンタルも増加したそうです。

 

そして20時、いよいよ大統領の演説が始まりました。

「私たちは病気と闘っているのです」

コロナウイルスとの戦争なのです」

翌日12時以降は、少なくとも15日間、不要不急の外出禁止

人と人の接触を必要最低限にするために家族や友人同士で集まることも、公園に出かけることもすべて禁止。

食料品や医薬品の買い物や、通院、(テレワークが不可能な場合の)通勤以外は、自宅にとどまること。

例外的な外出の際には、内務省のサイトからプリントアウトした証明書を記入して携帯することが義務付けられました。

違反者は、初日は38€、翌日からは一気に値上がりして135€の罰金。45日以内に支払わない場合は、375€割増と厳しい罰則が科せられます。

 

でもここでもまた曖昧さは否めません。

私は、本日3月18日は自宅から一歩も外出しませんでしたが、明日は買い物に出るために、この証明書を用意しているところですが、

まず、氏名、生年月日、住所を記入します。

次に以下の例外的に認められている5項目の中から外出の理由を選択します。

1)自宅と職場間の移動(テレワークが不可能な場合)、もしくは変更不可能な出張

2)必要不可欠な買い物のため(食料品等)

3)健康上の理由 (通院等)

4)家族間で高齢者や弱者の援助や子供の世話等やむを得ない外出

5)自宅近くでの短時間の外出 (一人での運動、飼い犬等動物の散歩のため)

 

昨日の午後からフランスの街中で、警官がフランス人の行動を見張っていますが、今朝のパリのマルシェでは、生鮮食料品を買い求める人たちが多すぎて、1mずつの間隔を取ることは守られていませんでした。

 

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                                                                                                      europe1.fr

 

ジョギングやサイクリングを楽しむ人たちは、自宅から離れたところまで移動しすぎているという事で違反になります。今日のところは口頭での注意のみですが今後は罰金の対象になります。

目安は自宅から500mの範囲です。

自宅の周囲をぐるぐる回るしかありませんね。

 

ニース、コートダジュールの海岸沿いは、今日の午後も日曜日に引き続き散歩やジョギングを楽しむ人たちで賑わっていました。

今後は、海岸沿いは通行止めになるかもしれません。

 

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                                                                                                                             France3 Regions

 

これからの陽気が良くなる時期、仕事が休みになったフランス人を自宅に閉じ込めておくのは、かなり困難なようです。

 

現在、最も深刻な状態のフランス東部では、一人でも多くの命を救うために軍隊が野営病院の設置を急いでいます。

本日からは、コソボアフガニスタンの戦場で負傷者を救助するために出動した医療設備を備えた軍用機が、フランス東部の病院から南部の軍事病院へと重篤な患者を運搬し始めました。予断を許さない状態が続いています。

 

たとえ外出禁止令が施行されても、国民皆が行動を改めなければ今後もしばらくは感染が拡大するのは避けられないのではととても心配しています。

私は、できる限り外出を避けるようにします。

 

日本の皆さん、フランスやイタリアのようにならないように、これからもマスクの着用や手洗いをまめに行ってください。

 

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最後に、もし緊急時に避難することになった場合、何をもっていけばいいかと考えたところ、フランスにはマルセイユ石けんという万能品があることに気付きました。

手洗いだけでなく、顔も体も髪の毛も洗えます。オリーヴオイルがベースなのでお肌を乾燥させる心配もありません。さらに歯磨きにも使用できます。

マルセイユ石鹸には使用期限はありませんので、400gくらいのキューブを1個緊急時の防災用品に加えておけば、まさかの時には大変お役に立ちますよ。

 

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「こんな時、外国に住んでいるのを不安に感じない」といえば嘘になりますが、

昨年帰国した際に訪れた、京都大原三千院で体験した静謐なひと時を思い出し、緊急時だからこそ、私も日本人の一人として心の平静さを忘れず、この戦争を乗り切ろうと思います。

 

マルセイユ石けんにご興味をお持ちの方は、こちらもご覧いただければ幸いです。

 https://chiyomi-paris-beauty.hatenablog.jp/entry/2018/03/18/094747

がん患者専用化粧品   MÊME メーム

 

Même malade,       メーム マラド   たとえ病気でも

je m’aime,    ジュ メーム    私は自分が好き

on m'aime !    オン メーム !       誰かが私を愛してる !

 

病院でのがん患者向けビューティレッスンで、肌のお手入れの仕方とメイクを指導していますが、抗がん剤治療の副作用で頭髪が脱毛した方々から、

「額の先は、どのあたりまでクリームを塗ればいいのかしら?」

「頭皮も肌の一部と考えて、顔と同様のケアでいいのかしら?」

このような質問を受けることがあります。

 

私たちは、クレンジングも洗顔も、化粧水もクリームも全部、無意識のうちに頭髪の生え際までお手入れをしますよね。ではその先の頭皮のケアはどうすればいいでしょうか?

 

それまでは、頭髪のおかげで頭皮は直射日光からも雨や風からも、そして摩擦等の刺激からも守られていましたが、今はむき出しのままなのですから、なおさらのこと何もせずにほおっておくわけにはいきませんね。

 

ところが、私が病院でビューティレッスンを始めた当初は、治療の副作用による脱毛後の頭皮をケアする化粧品はありませんでした。

髪の毛先はパサパサでも根元はしっとりしていることからわかるように、頭皮は皮脂分泌が盛んなため、顔と同じクリームではべたついてしまいます。そこで、ボディ用の乳液を手のひらでやさしく円を描くように塗布するようにアドバイスしていました。

 

ビューティレッスン中、毎回のように患者さんどうしの会話の中で、脱毛について話題になります。

脱毛前には痛みやかゆみを感じるとか、脱毛後は頭皮が乾燥して敏感になっているためヒリヒリするとか…。その上、一日中かつらや帽子をかぶっていると頭皮が蒸れてかゆみを感じたり、ターバンやスカーフの生地による摩擦で頭皮が軽い炎症を起こしたりと次から次に不快な症状に見舞われます。

それらを一気に解決してくれる良い方法はないものかと頭を抱えていた患者さんも少なくないはずです。

 

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「MÊME メーム」誕生

2017年2月、ついにがん患者専用の化粧品ブランド「MÊME メーム」が誕生しました。

創業者は、それぞれ母親や近親者をがんで亡くした経験を持つ、Judith とJuliette 20代の女性二人です。

癌専門医と皮膚科医の協力を得て、商品は入念に開発され、フランス国内で製造されています。闘病中のデリケートな皮膚専用のため、慎重を期すため、発がん性の可能性が疑われる物質や内分泌かく乱物質は一切使用していません。商品の安全性には万全を期しています。

リオン市のLEON BERARD がんセンターとJEAN MERMOZ 病院にて、70名の女性患者が21日間化粧品を試した結果、医師と患者双方から高評価が得られました。

化粧品の低刺激性については、96%がとても良いと回答しています。

84%が皮膚の副作用の改善に役立つ、77%がQOLが向上されたと満足しています。

 

発売からまだ3年しかたっていませんが、パリだけでもうすでに180ヵ所の薬局で販売されています。

 

 

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創業者のお二人にお目にかかり直接お話をうかがいました。

「メーム化粧品の発売までに一番大変だったことは?」

「徹底的に安全性にこだわって原材料を選ぶだけでなく、使い心地の良さや効果も要求されるために、1品1品の開発にとっても時間がかかってしまうことです。」

 

白とピンク色基調のパッケージには、各商品ごとに励ましの一言が書き添えてあり

「つらい闘病中であっても、自分の肌に適した化粧品を使用する喜びを感じてもらいたい」

という彼女たちの想いが伝わってきます。

 

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メームのトートバッグには、このような名言が書かれています。

 

La vie, ce n’est pas d’attendre que l’orage passe,

c’est d’apprendre a danser sous la pluie. 

 

人生は嵐が過ぎ去るのを待つのではなく、

雨の中で踊るすべを学ぶのである。

 

待ちに待った新商品

最初に開発された商品は、「頭皮用 ミスト

配合成分の88%は天然成分です。

 

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有機栽培のカレンドラの抽出成分
:カレンドラはキク科の植物。乾燥や炎症でバランスの乱れた肌の状態を鎮静する作用があります。デリケートな肌にやさしく働きかけ保護し、肌荒れを防止します。

 

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藪椿オイル
:日本でも昔から頭髪のお手入れの定番ですね。

 

 

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アプリコットオイル:湿疹やかゆみを緩和する効果。新陳代謝を高め皮膚の再生を助ける効果。浸透率が高くさらっとした使用感も頭皮に使用するのに適しています。

 

肌に栄養を届けるオイル層と不快な症状を緩和する水溶液層の二層構造のため、さらっとしたテクスチャーで、朝は使用後すぐにかつらを装着することも、夜は就寝直前に塗布することもできます。

又、頭皮にミストをシュッシュッと吹きかけてから、指の腹で小さな円を描くように頭皮全体になじませると、毛細血管の血行を高め、頭髪の再生を促進します。

 

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手足症候群用 手袋と足袋 

ビューティレッスンでは、クリームのふたを回して開けることができなかったり、マスカラを包んでいるフィルムをやぶることができない患者さんはめずらしくありません。

これは、手足症候群と呼ばれる手足の皮膚に生じる副作用のひとつで、皮膚が分厚く固くガサガサになりひび割れる状態です。

しびれやむくみ、焼けつくような痛みを感じることもあり、日常生活にも支障が出てきます。

 

その状態を改善するために開発されたのが、手袋と足袋です。

 

98%天然成分からできています。

 

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有機栽培のアロエベラ:抗炎症、殺菌作用。皮膚の修復に効果があります。

 

子供の頃、実家の庭でキダチアロエを栽培していました。道端で転んで擦り傷を作ったり、軽いやけどをすると、母は「医者いらずを塗れば大丈夫」とアロエの葉から出る樹液を塗ってくれました。

アロエはそのさまざまな効能から別名「医者いらず」と呼ばれています。

 

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スィートアーモンドオイル:皮膚を柔らかくし栄養分を閉じ込め、潤いを保たせるエモリエント効果があります。

 

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マンゴーバター(マンゴーの種から採取した植物油脂):角質を柔らかくし、保湿効果があります。

 

 

 

成分をしみこませてある手袋と足袋をはめて、30分間有効成分を肌に浸透させます。

足型のビニール袋の中に液が入っている、足の角質を除去するための製品と同様の使い方です。

メームの場合は、内側がコットンなので皮膚が過敏な時にも安心して使用できます。

1回目の使用から肌の状態が改善されると評判の商品です。

 

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ネイルケア

闘病中は爪にも副作用が現れます。薄く割れやすくなるため、日常生活で何かに当たっただけでも爪が欠けてしまうこともあるほどですから、しっかり補強しなくてはいけません。又、それだけでなく黒く変色したり、たてにすじが入ることもあります。

 

発がん性や中毒症状を起こす可能性のある10成分(ベンゾフェノン、トルエンホルムアルデヒド、フタル酸、 合成カンファー、パラベン、コロファン、キシレン、ステレン、重金属)は一切含まれていません。

匂いに過敏な患者さんのために、マニキュア特有のあの不快な匂いの元になる成分は加えていません。

 

爪を丈夫にするためにシリカ(ケイ素)を配合

ジャガイモ、小麦、トウモロコシ、キャッサバ(タピオカの原料)等83%は天然成分

ネイルカラーは、爪の変色を覆い隠せるためと紫外線から爪を保護するため、マット5色とローズ系2色

 

除光液は、オイルベースでアセトンを含まないため嫌なにおいもありません。

その上、爪に潤いを与える効果もあります。

 

 

そのほかにも、クレンジングクリーム、保湿クリーム、BBクリーム、ボディ洗浄用オイル、ボディクリーム等、 徐々に商品ラインナップも整ってきています。

新商品は、顔色をよく見せるパウダー。 

今後はメイクアップ商品の開発が待ち望まれています。

 

 

残念ながら、まだ日本には輸入されていませんが、もし身近にがん闘病中の方がいらしたら、パリ旅行のお土産に購入されてはいかがでしょうか。頭皮用ミストは、もちろん男性も使用できます。

パリ市内180ヵ所で販売されていますので、大きな薬局で購入できると思います。

 

注意:メーム化粧品は、肌への刺激や効果について医師からの承認を得ていますが、闘病中は必ず担当医師の許可を得てから、ご使用ください。

 

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 www.memecosmetics.fr

美容整形 賛成? それとも 反対?

もう20年も前の話になりますが、エステティック専門学校の授業の一環として、美容整形クリニックを訪問したことがあります。

エステティックサロンの顧客層は美意識が高く、美容整形にも関心をお持ちのため、私たちエステティシャンの卵もその基礎知識を習得する目的のためでした。

まだ美容整形手術が、一部の限られた人たちだけのものだった時代の話です。

 

パリ16区の高級住宅街にある、元は貴族の邸宅であった瀟洒なクリニックを見学した後、院長先生から、顔のリフティングや腹部の脂肪吸引、バストアップ等の技術について説明を受けました。

パリの富裕層マダム御用達の優雅な若返りサロンであり、私には無縁の世界を垣間見る良い機会となりました。

 

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当時の私は、皮膚をメスで傷つけ、体内の脂肪を無理やり剥ぎとり、バストに異物を挿入してまで、そこまでして外見をよく見せたいとは思いませんでした。

時の経過とともに後遺症が出るのではないかと危惧してもいました。

 

見学の最後には、バストの矯正手術を受けた看護師さんが、そのおかげでいかに自分がコンプレックスから解放されたかについて、熱心に話してくださいました。

3人目の出産後、下垂したバストを息子さんからも指摘され、自分は魅力的だと感じられなくなりましたが、術後はためらいなく露出の多いドレスを着て外出できるようになったそうです。

 

まだ、パリに住み始めて間もなかった私は、彼女は、妻であり、母でもあり、そして看護師でもあり、その上さらに一人の女性として魅力的でなければ満たされないなんて、あまりにも欲張り過ぎではないかと思いましたが、今なら理解できます。

いくつになっても自分を主張し続けるのです。

結婚、出産、離婚、再婚等、人生の過程で、または職業のキャリアの過程で、立場は変化していきますが、自分自身のアイデンティティーは、ぶれることがないのです。

そういえば、つい最近フランスのアイデンティティカードの更新をしたばかりですが、私の旧姓は、結婚後も残ります。

その横に配偶者の姓が明示されています。

フランス人が個人主義と評される所以の一つかもしれません。

「妻であり、母である以前に、私はずっと私のままだから、自分の満足のいくように生きていく」のです。

フランス人女性の自己主張は、単なる自分勝手というわけではないのですね。

 

 

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当時30代前半で、エステティシャンを目指していた私は、老いに直面するのはまだまだ先の話だったこともあり、バランスの取れた食事や規則正しい生活習慣と毎日のお肌の手入れを怠らなければ、美しく年齢を重ねることができるものだとなんら疑いなく信じていました。

そればかりか、自分の持って生まれた肉体にメスを入れて人為的に見た目を変えてしまうなんて、なんだかずるい行為のようで、恥ずかしいことのように思っていました。

日本では、美容整形手術は、他人に知られないようにこっそりと受けるものでしたよね。

 

美容整形のみならず、眉毛やアイラインのアートメイクも普及し始めたころでしたが、私は人工的な美容手段には反対でした。

完璧に描かれた眉毛やすっと滑らかに引かれたアイラインは、洗練された顔に仕上げてくれます。毎朝、お化粧に費やす時間も短縮できます。

でも、何年も同じメイクをし続けることになるのではないか、と疑問に思っていました。

眉毛やアイラインの描き方は、時代とともに流行り廃れがあるものだし、私の顔だって当然年齢相応に変わっていくのだから、顔の一部だけ皮膚の中に色を入れて形を固定してしまうといずれは不自然な顔になるだろうと考えていました。

ずいぶん前には、太くて一直線の黒い眉が流行ったこともありました。その後、眉山のはっきりした細くて長めの、顔を立体的に見せる効果のある眉毛が主流になり、そして最近はもっとナチュラルな形になってきました。

流行に合わせていきたいですよね。

 

 

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エステティシャンになってからは、職業柄、美容整形手術を受けられたお客様にお目にかかることは珍しくありません。

美容整形を始める前から、エステに通ってくださっているお客様もいらっしゃいます。

ある女性は、瞼のたるみを取る手術、頬をふっくらさせる手術、唇のコラーゲン注入、豊胸手術にヒップアップ。顔も体も数年間ですっかり変貌されてしまいました。

やりすぎはいけませんね。

「どうしてドクターが、ストップをかけないのかしら」

と疑問を抱きましたが、病気治療の場合とは違い、主導権は患者さんにあるのですね。

最近、久しぶりにご来店くださいましたが、クリニックを変えられたのか、見違えるほどきれいになっておられました。

新しいパ-トナ-との出会いもあるようですが。

 

別のお客様は、いつも大小2個のルイ ヴィトンのバッグをお持ちでしたが、ご本人はとても地味な女性で、自信のなさを隠すために高級ブランドのバッグを提げておられるように感じていました。

ところが、1年ぶりにお会いした時には、一瞬どなただかわからないくらい変身されておられました。

まっすぐ前を向いて背筋を伸ばして歩きながらサロンにご来店されたご様子は、別人のようでした。顔も体もシャープになられ、それを際立たせるようにボディラインに沿った洋服を身に着けておられました。

お仕事でロサンゼルスに滞在された機会に、アメリカ人の影響を受けて、思い切って整形されたとか。アメリカは世界一の美容整形大国ですからね。

 

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整形経験者の中で、もう一人印象に残っているお客様の事を思い出します。

ある時、お電話で、貫録のあるお声の感じからして65歳くらいのマダムがアンチエイジングのフェイシャルトリートメントをご予約されました。当日、ご本人が入っていらっしゃった時、お電話とは別人がご来店されたのだと思いました。すらっと伸びた長い脚、豊かに盛り上がったバスト、つるつるのお肌、一見40歳くらいにしか見えませんでした。

でも、さすがに声の若返りまではできないようで、お話を始められると同一人物であることがわかりました。

機会があれば、どちらのクリニックに通っていらっしゃるのか教えていただきたいくらい、お若く見えました。

後日彼女からの紹介でご友人がご来店くださいましたが、一目で、同じクリニックで施術を受けておられると想像がつきました。

お顔がそっくりというわけではありませんが、表情がとても似ておられました。

 

整形手術は、一旦やり始めるとエスカレートしていくのか、それともこれを機会にコンプレックスを一気に解消しようと思うのか、全体のバランスを保つために数か所にメスを入れることになるのか、いずれにせよ、何度も繰り返す人が多いようです。

女性の望みを一つずつかなえていくと、よく似た顔つきが出来上がってしまうのでしょうね。

そして、術後は以前よりも大胆な服装をするようになります。

大金をかけて、痛い思いをしてまで獲得した肉体を見せびらかしたいのは当然ですね。

外見のコンプレックスから解放されると、全身から自信がみなぎっています。

フランスでは、ヴァカンス後の日焼けがいまだにステイタスシンボルなのと同様に、美容整形で美しさを保つのもその一つと言えるかもしれません。

 

 

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国際美容外科学会(ISAPS)の統計によると、2016年に世界中で一番多く行われた美容外科手術は、豊胸手術でした。

意外なことに、フランス国内でも同様の結果でした。

日本美容外科学会(JSAPS)の統計では、日本国内では圧倒的に顔の手術が大きな割合を占めています。

 

フランスでは、シリコンパックの発がん性を指摘する声がありましたが、2011年に豊胸手術に使用されたシリコンパックの体内での破裂が原因とみられるリンパ腫による死亡が公表され、一大スキャンダルとなりました。

 

原因となったシリコン製の豊胸パックを製造したフランスのPIP社の製品は、世界中で販売され、使用者は40万人と言われました。

医療用に認可されていないシリコンを使用したため、体内での破裂率が高く、がんを引き起こすことが大問題になりました。フランス保健当局は、直ちにすべての該当患者にシリコンパックの摘出を指示しました。

 

このような重大事件が発覚してからまだ数年しか経過していないにもかかわらず、バストアップのために異物を体内に入れることに抵抗はないのでしょうか?

 

他社の製品を100%信頼しているのか、それとも危険を承知の上で、魅力的なバストを手に入れたいのか、女性が美しくなりたいと願う気持ちは命がけなのですね。

 

確かに、フランスの洋服は、デコルテが大きく開いた肌を露出するものが多いです。

体型カバーよりも、女性の体を魅力的に見せることを目的にしています。

日本のボディスーツのような補正下着やガードル、寄せて上げる効果のあるブラジャーもあまり見かけません。

ストッキングも、繊細なレース柄のエレガントなものは色もデザインも豊富にそろっていますが、あまり伸縮性はなく、引き締め効果は期待できません(フランス人は、年齢を重ねても脚はすっきりした体型の女性が多いですが)。

 

昔、私の母が外出する時にいつも洋服の下に着ていたような、あのお尻から胸までの贅肉をすっぽり包み込んでバストアップを可能にしてくれるベージュのボディスーツを、もしも私が身に着けているのを夫が目にしたら、彼はどれほどショックを受けるでしょうか?

「そんなの着てごまかすくらいなら、普段からスポーツして体を鍛えれば…」

私の胸にグサッと突き刺さるような冷たい一言を浴びせられそうです。

 

老いも若きも年齢に関係なく、体型にも関係なく、自分が魅力的に見える装いをしています。

バカンス先では、燦々と降り注ぐ太陽の光を最大限に享受するために、ビーチではもちろんビキニを着用します。

当然、ムダ毛は、ご法度!です。

「ビーチでムダ毛処理をしていない女性がいたら、彼女は絶対にフランス人じゃない!」

と、フランス人の友人は断言しています。

日頃から、ボディケアは欠かせません。

 

化粧品も日本に比べるとボディケア商品が充実しています。

TVでは、ひっきりなしに、ムダ毛の処理やスリミング等のボディケア商品のCMが流れています。

もちろんフェイシャル化粧品のCMもありますが、日本に比べるとボディケアの重要さを感じます。

春先から夏にかけては、女性誌では、脱毛、スクラブ、引き締め、スリミング、セルフタンニング*化粧品や日焼けを長持ちさせるためのケアに至るまで、フェイシャルケア以上の種類のボディケア商品が紹介されています。フランス人女性のボディケアへの関心の高さがよくわかります。

* 一時的に肌色を変化させる効果があり、塗るだけで日焼けをしたような小麦色の肌になれる化粧品。ヴァカンス前の日焼け準備のためにも使われる。

 

 

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フランス世論研究所 (Ifop) が2018年7月に行った美容整形(外科手術ならびに非外科的施術も含む)に関するアンケートによると、フランスでは10人に1人の女性がすでに何らかの美容整形を経験済みであると回答しています。

 

1位は、バストの矯正

2位は、レーザー脱毛

3位は、しわ軽減のためヒアルロン酸ボツリヌス菌等の注入

 

ISAPSの統計と同様、1位はバストですね。

 

私の興味を引いたのは、次の質問です。

 

美容整形経験者もしくは将来は受けようと考えていると回答した女性 (全体の23%)に、その動機を尋ねたところ、(複数回答可のため合計が100を超えます)

(カッコ内は、2002年に6月に行われた同様の調査の結果です)

 

1位 より自分に満足できるため 68 (69%)

2位 身体的コンプレックスから解放されるため 55% (34%)

3位 若さを保つため 13% (15%)

4位 職業上都合が良いから 6% (11%)

5位 パートナーに気に入られるため 5% (21%)

6位 現代では、若々しく見せなくてはいけないから 2% (7%)

 

「パートナーに気に入られるため」と答えた女性は、21%から5%に減少していることからも明らかなように、異性の目を気にして美容整形に駆け込むのではなく、さらなる自信をつけ前向きに生きるため、自分のために受けています。

 

一方で、美容整形に頼る気はないと回答した77%の女性の意見は以下の通りです。

 

1位 年齢を重ねることは悩みの種ではないから 73%

2位 費用が高すぎるから 32%

3位 手術に伴うリスクが怖いから 22%

「周囲の目が怖いから」美容整形を受けないと答えた女性は1%未満でした。

 

1位は、フランス女性らしい意見ですね。

女性の価値は若さで判断されないと確信しているのです。

 

美容業界では、決して老化肌という言葉は使用しません。

更年期にさしかかる45歳ころからのツヤやハリを失いかけてきた肌は、 成熟したという意味の単語 mature を使い、「la peau mature 成熟した肌」と表現します。

フランス女性は、年齢とともに老いて衰えていくのではなく、チーズやワインのようにじっくりと手間をかけて熟成されていくのですね。

 

 

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さて、もうすっかり成熟肌の年齢に達した今の私は、美容整形に対する考え方も寛容になりました。

バストアップとヒップアップ、お腹周りの余分な脂肪も一気に吸い取って、それからフェイスラインをきゅっと持ち上げて、眉間のしわにはボトックス、額にはヒアルロン酸を注入して……と鏡の前でお腹を引っ込めたり、顔を引き上げたり膨らませたり、あれこれと思い浮かべているところです。

今まで、お肌のお手入れも怠らずにやってきました。身だしなみにも気を使っています。

それでも、外見は衰えてきます。

生まれた時から、人生は前に進むだけなのですから仕方ないですよね。

鏡の前で、自分の顔を眺めて溜息をつくくらいなら、さっさと悩みを解決してしまった方がいいと思いませんか?

エステティシャンの経験を重ねるにつれて、美容整形に頼る女性の気持ちがわかるようになってきました。

私の人生は、まだ何十年も先があるのです。これからも新しいことに挑戦したり、新たに多くの人と出会うこともあるでしょうから、老いて衰えていくにはまだ早すぎるのです。

そんな自分の中の意欲の年齢と、外見の年齢の調和が取れなくなってきたら、美容整形を試そうと思っています。

同様に、アートメイクに対する考え方も変わりました。

技術が進み、より自然な眉毛を描くことができるようになったこともありますが、それよりも、ある程度の年齢になればもう、流行のメイクをまねる必要はないからです。

自分の顔に合った眉の形に固定してしまっても構いません。

自分の顔を周囲に合わせるのではなく、自分の顔は責任をもって自分で決めたいのです。

 

つい先日、夫から、

「クリスマスプレゼントは何がほしい?」と聞かれ、

両手で両胸を持ち上げてから、次にその手で頬を包み込んで顔全体を持ち上げてニコッと微笑んでから、

「整形手術でもプレゼントしてもらおうかな」と答えました。

「失敗したら後悔するからやめといた方がいいと思うよ」と、私からの予想外のお願いに困惑していました。

「大丈夫よ。まず手始めにボツリヌス菌とかヒアルロン酸とか注入するだけだから」

「そんなことしたら、千代美らしさがなくなるから賛成できないね」

夫には、いつまでも魅力的でいたいと願う女心はわかってもらえません。

今年のクリスマスプレゼントは、おあずけになってしまいました。

  

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パリの街をぶらぶらお散歩気分 ‟Kerzonのフレグランス サシェ”

京都のお土産の定番、小さな巾着袋に入った匂い袋、クローゼットの引き出しの中に入れていませんか?

衣類を身に着けると、移り香がほんのりと漂い、心地いいですよね。

 

フランスにも、サシェと呼ばれる同様のものがあります。

 

南フランスに旅行されたことがある方は、露天市で売られているラベンダーのサシェをお求めになられたことがあるかもしれませんね。

 

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私もいくつか試してみましたが、天然のものはすぐに香りがなくなってしまいました。

また逆に、人工的なものは香りが強すぎて、クローゼットのみならず寝室いっぱいに香りが充満してしまい、結局使わなくなってしまったこともあります。

(パリのアパートは狭いので…)

その代わりに、好きな香りの石鹸をハンカチに包んで使用したり、石鹸の空き箱を代用しています。

 

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ある時、マリウスファーブルのお店にオリーヴ石鹸を買いに行った帰りに、ぶらぶらとウインドウショッピングをしていて、偶然入った Kerzon ケルゾンのお店で素敵なサシェを見つけました。

両店舗とも、ヴォージュ広場近くの チュレンヌ通りにあります。

 

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Kerzonは、ピエール・アレクシス と エティエンヌ 兄弟の、子供の頃家族そろって夏休みを過ごした思い出いっぱいの田舎の家の香りや、楽しい時を過ごした幸せな日々から連想されるような香りを現代にも伝えていきたいとの願いから生まれた 新進のフレグランスブランドです。

香水だけでなく、キャンドルや石鹸、洗濯洗剤や食器用洗剤等、日常生活で使用する製品をフランス国内で製造しています。

家族皆が共有できる爽やかな香りばかりです。

 

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Kerzonのフレグランス サシェは、彼らのおばあちゃんが、一人一人の引き出しの中に忍ばせておいてくれたラべンダーの匂い袋からインスピレーションを得ています。

 

実は、私たち夫婦が毎年夏のバカンスを過ごすブリュタ-ニュの家にも、箪笥の中に、ストッキングを切って作った袋にラベンダーを詰めた匂い袋が残っています。

私は、初めてこの家を訪れた時から、

こんな古いもの、さっさと捨ててしまえばいいのに…と思っているのですが、

夫は 「これは、おばあちゃんが残してくれたものだから」

と、もうとっくの昔に香りはなくなっているにもかかわらず、相変わらず箪笥の中にぶら下げています。

ラベンダ-の匂い袋は、子供の頃の夏休みを思い出させるのでしょうね。

男性は女性よりもノスタルジックなのでしょうか?

 

 

Flâneries à Paris  パリ散策 と名づけられたコレクションは、パリの街角で過ごすひと時を香りで表現しています。

 

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私のお気に入りは、サンルイ島の香り

セーヌ川沿いに立ち並ぶ石造りの瀟洒な邸宅を、春の陽射しが照らすさまが思い浮かぶような ベチバ-とパチョリの香り。

ミネラルでウッディなフレグランスです。

私は、ランジェリーの引き出しの中と、スーツケースの中に入れています。

毎朝着替えをする際に、ほのかな香りを感じ、気分よく一日を始めることができます。

 

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又、年に数回しか使用しない大型のスーツケースは、1年のほとんどは地下の倉庫に保管しています。旅行直前に着替え等を詰める際に、不快な匂いがするのを防いでくれます。

旅行中もフレグランス サシェを入れたままにすれば、さらに香りが持続します。

 

 

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リュクサンブール公園の香り

公園の池に浮かんだ小舟を見ながら、放課後の時間つぶしをした学生の頃の思い出。

春の日差しが暖かくなるころから咲き始めるライラックの香り。

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公園内のミツバチの巣箱のそばを通り過ぎる時に思い浮かべた蜂蜜の甘い香り。

リュクサンブール公園の香りは、暖かい午後の陽だまりでおやつを頬張るひと時のような、そんなささやかな幸せの香りです。

 

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私にとっての日常生活の中の小さな幸せ?

休日の朝、近所のパン屋さんに行って、運よく、焼き上がったばかりのアツアツのバゲットを買うことができ、店から出てすぐさまその先っぽをつまんでほおばった時!

バターもジャムもなにも付けなくても、とってもおいしいのですもの。

でも、パンが焼きあがるこうばしい香りはフレグランスにはできませんね。

一日中食欲をそそられてしまいますからね。

 

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ヴォージュ広場の香り

パリ最古の広場の周辺には、16~17世紀にかけては王宮があり、貴族の館が立ち並んでいました。

アーチ型屋根の美しい回廊を持つ赤レンガ造りの建物で囲まれた広場は、今でも優雅な雰囲気に包まれています。

 

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Kerzonで一番人気のある、このヴォージュ広場の香りは

かつて、周囲のお屋敷のバルコニーを飾っていたバラの花が目に浮かぶような、甘く気品にあふれる香りです。

 

サシェは、パリの街角の地図のイラストが描かれた袋に入っていますので、パリ土産にも好適です。

皆さんとても喜んでくださいますよ。

 

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 Kerzon     
68 rue de Turenne 75003 Paris

痩せる タラソテラピー

冬の間に3キロ太ってしまいました。

時々プールで泳いでいますが、目覚ましい効果は得られません。


おめかししてもお腹周りがぽってりして、なんだか冴えない自分の姿を受け入れることができません。
でもダイエットをしても長続きしないのは重々承知しています。
スリムになりたいなんて夢見ているわけではありません。
ただ元に戻したいだけなのです。


若い頃なら、恋の病にかかって胸がいっぱいで食事が喉を通らないとか、片思いの彼を振り向かせるためにキレイになりたいとか、心がときめいて食欲をなくすこともありましたが、もはやそういうことは期待できそうにありません。

しかしながら、このまま手をこまねいているわけにはいきません。


少しの油断の積み重ねが、あっという間に10キロになり、取り返しのつかないことになるのですから、この3キロを甘く見るわけにはいかないのです。

 

そこで、困った時のプロ頼み!

余分な脂肪をリセットするために、タラソテラピーの痩身コースに参加しました。

実は、タラソテラピ-は今回で4度目の体験です。

 

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パリ、モンパルナス駅から直通のTGV(フランスの新幹線)に乗り、フランス北西部ブリュタ-ニュ地方のサンマロまで2時間半。
療養客のほとんどはパリからやってくるため、TGVの到着の時間に合わせてホテルの送迎車が待っていてくれます。

 

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Ma thalasso, C'est Saint Malo
私のタラソテラピー は、サンマロ よ。

 

パリの地下鉄のホームでは、上記のキャッチコピーで有名なサンマロのタラソテラピーセンターのポスターをよく見かけます。
パリジェンヌのきれいの秘訣は、サンマロにあり!

 

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1日目

エメラルドに輝く広大な海、どこまでも続く砂浜の海岸、まだ何も始まっていないのに、ただ海を眺めているだけで、日常生活のもろもろから開放されます。

 

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到着後まず、医師の診察を受け、その指示に従って、6日間のプログラムを決定します。
私の今回の目的は、お腹周りの脂肪を落とすこと!
そのため痩身コースの中に、 お腹の揉み出しマッサージも加えました。


本来なら、早朝の海岸を走り回るトレーニングに参加したり、海水プ-ルでのエクササイズやサイクリングでしっかりカロリーを消費するはずでしたが……1週間前、仕事からの帰宅途中に足を捻挫してしまい、ハードなサポーターをグルグル巻きにして何とか歩いている状態のため、足首に負担のかかる運動は、ドクターストップとなりました。残念!

タラソテラピーでは海水を温めて使用するため、痛みの感覚をマヒさせる効果があります。そのため、幸いその他のプログラムには支障はありません。

タラソテラピーがスポーツ選手のリハビリに利用される所以ですね。

 

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タラソテラピーセンターの扉を開くと、海の香りが漂っています。

早速、施術開始です。

 

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① 身体計測
両腕、胸囲、ウエスト、ヒップ 、そして両太ももの計測を行います。
1週間後、どれだけ結果が出るか楽しみです。

② 全身スクラブ
③ ジェット水流を浴びながらの軽い運動
④ 全身海藻パック
⑤ 温海水シャワーを浴びながらの全身マッサージ

 

海藻パックは私の一番お気に入りの施術です。

 

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ブリュターニュ産の海藻ペースト1kgを全身にたっぷり塗布してから、暖かい毛布にくるまれて発汗を促進します。

 

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海のミネラル成分が体の内部まで浸透し、細胞を活性化させます。その後、温かい海水のシャワーで水圧をかけながらパックを洗い流してもらいます。

 

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施術後の体は、昆布のような濃厚な海の香りに包まれ、タラソテラピーの醍醐味を堪能することができます。



2日目

私はホテルの朝食ビュッフェが大好き!

食欲がなくても、ついついあれもこれも口にしたくなりますよね。

 

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ダメダメ! 私は痩せるために来ているのです。

 

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でも、こんなにたくさん美味しそうなものが並んでいると、食欲をそそられずにはいられません。

 

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朝食レストランには、ダイエットのためのアドバイスが表示されています。

痩せるためには、朝食は200-400キロカロリーにおさえること!

250-300キロカロリーの2例が挙げられています。

  • コーヒー + 亜麻仁パン2切れ + 鶏肉薄切り2切れ + チーズ薄切り2切れ +

         ミニトマト10個

         ブラックチョコレート1かけら

 

これだけしか食べられないなんて、まるで罰ゲームをさせられているみたい…。

 

そして、さらに痩せるための注意書きが添えられています。

適量の食事をとるためには、体内部の感覚:空腹なのか?満腹なのか?飽満なのか? に従うようにしましょう。

たいていの場合は、食欲や食べ物への執着心と混同しています。

ゆっくりと時間をかけて、食事を堪能する習慣を身に着け、欲望に左右されないようにしましょう。

 

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紅茶 10㎉ + オレンジジュース100㎉ + 海藻入りパン2切れ100㎉ + バターとジャム 少量 + 低脂肪ヨーグルト55㎉ + フルーツ

400㎉を超えてしまいました。

オレンジジュースが余分でしたね。

 

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パティスリーにも手を伸ばしたいところですが、我慢!我慢!

 

これは、欲望に打ち勝つためのトレーニングなのです。

 

食欲のおもむくままに、目の前にある食べ物を口に運ぶのではなく、理性をもって、バランスの良い食事を楽しむトレーニングをしていると自分に言い聞かせながら、朝食を終えました。

 

 

本日のプログラム
① 海水シャワーの水圧によるウォーターマッサージ
② ジェット水流を浴びながらの軽い運動
③ Cellu M6 : フランスLPG社が世界に誇るエンダモロジー機器

   肌深部へ刺激を与え、サイズダウンと肌の引き締め効果あり
④ 全身海藻パック

 

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しっかり水分補給をするために、センター内では、ハーブティーが飲み放題。
普段よりもトイレに行く回数が多くなり、体内の老廃物がどんどん排泄されていくのを実感します。

 


3日目

今日の施術は午後からなので、のんびりと朝食をとってから、静かな海岸をお散歩。

 

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昼間、燦々と太陽が降り注ぐエメラルドの海もきれいですが、朝の緩やかな日差しの中、キラキラと輝くパステルカラーの海岸を目にすると、私は心が癒されます。

 

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① ジェット水流を浴びながらの軽い運動
② 腹部揉み出しマッサージ
③ デトックス パック
④ 温海水バスの中でシャワーの水圧によるウォーターマッサージを受ける

 

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なんだか今日は疲れています。 どうしてでしょう?

セラピストさんによれば、2日目の夜か3日目に疲れが出るのは当然のとのこと。

私は、ベッドやバスタブに横たわって施術を受けているだけですが、ジェット水流やシャワーの水圧がしっかりと全身の筋肉を刺激してくれるので、毎日ハードな運動をしているようなものなのです。

それに加えて、リンパの流れや血行も促進され、新陳代謝もよくなり、私の体は内部から活性化されているのです。

ゆったりと休暇を過ごしながらも、実は普段よりもアクティブな日々なのです。

 

食事は、毎日ホテル内のレストランにて、ダイエットメニューの中から前菜、メイン、デザートを選択できます。

 

生牡蠣8個 55㎉ 

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ヒメジのグリル、ブルターニュ産の海藻ソース 180㎉

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ブランマンジェ 110㎉

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これだけ食べれば、私はお腹一杯になりますが、希望すればパン1個と低脂肪ヨーグルトかクリームチーズも付いてきます。


4日目

そろそろ効果が出てきたかしら? 体重計に乗ってみました。

マイナス2キロ!!!

このペースでいけば、あと1~2キロは減らせるかも?

 

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① Cellu M6
② ジェット水流を浴びながらの軽い運動

③ 温海水のジャグジー:ジェット水流による全身マッサージ

④ 全身海藻パック

 

ホテルのテラスには、下の写真のような池があります。

ここから600m先の海中に設置された2台のポンプから、新鮮な海水をくみ上げているところです。毎日 350 000ℓ の海水を使用します。

最大限の効果を得るために、汲み置きはしません。

3つの穴から、地下のタンクに貯蔵され、温めてから使用します。

 

 

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使用後の海水は、テラピーに使用した海藻クリームやエッセンシャルオイル等を濾過し、元の温度に戻してから、給水ポンプとは別の方向に排水しています。


5日目

① ジェット水流を浴びながらの軽い運動

② 腹部揉み出しマッサージ
③ 脂肪を排泄し、肌にハリを与える効果のある全身パック

④ 海水シャワーの水圧によるウォーターマッサージ

 

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手長海老のサラダ 110㎉

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ブリュターニュ産オマールエビのグリル クリュスタッセ(甲殻類)ソース 180㎉

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モワルー オ ショコラ 焼きバナナ添え 95㎉

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夕食後は、昼間の喧騒がすっかり静まった、海岸線をお散歩。

 

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フランス北西部に位置するサンマロでは、夏の日没は午後10時頃です。

海に沈んでいく夕陽を眺めながら、このままずっと、このように時間がゆっくり流れる中で過ごせたら、ストレスなんてたまらないだろうと思います。

 

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雲に覆われて、空と海の境目が見えなくなる夕暮れ時も、私は好きです。


6日目
① Cellu M6
② ジェット水流を浴びながらの軽い運動

③ 温海水のジャグジー:ジェット水流による全身マッサージ

1週間の痩身治療も終わりが近づいてきました。

足首の痛みもだんだんと和らいできたので、さらなる減量効果を出すためにプールで泳ぎました。

 

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 プールサイドで、夕食までしばしお昼寝。

 

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カニ肉のサラダ (生野菜の下にたっぷりのカニ肉が隠れています)  95㎉

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マトウダイポワレ 赤ピーマンソース 180㎉

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イチゴとキウイのゼリーのタルト 150㎉

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7日目
① 腹部揉み出しマッサージ
② デトックス パック
③ 身体計測
その後も変化なく、最終的に体重は2キロ減り、ウエストは4cm 細くなりました。

お腹の脂肪が減った分、心も軽くなりました。

 

 

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迎えに来てくれた夫とともに、さらに1週間の休暇を楽しみました。 

 

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ダイエットの効果が水の泡になってしまうのでは?とちょっぴり罪悪感を感じながら、バターをたっぷり使用した、ブルターニュ名物そば粉のガレットも味わい、夏のヴァカンスを終えました。

 

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休暇明け、常連の顧客様から

「元気そうね。若返った? 痩せたでしょ?」

「顔が小さくなったわね!」

と、早速うれしいお言葉をいただきました。

 

日常生活に戻ってから2週間が経過した現在も体重はキープしています。

それどころか、お腹周りはさらにシェイプアップしたようで、夏服がすっきり着こなせるようになりました。

 

 

日本にも、本格的なタラソテラピ-センタ-がありますね。

皆さんも、体の疲れやストレスがたまってきたら、手遅れにならないうちにリセットしませんか?

 

私も、日本でもぜひ一度試してみたいです。

 

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パリのエステティシャンになるには? (2)

 


エステティシャン国家資格 実技試験

 

試験日が近づいてくると、パリエステティックアカデミーより受験時に必要なもののリストが郵送されてきました。

当日は、お客様役のモデル同伴で、サロンを開くことができるほどの道具一式を持参しなければなりません。

 

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モデルの条件は、30歳以上であること。

試験はクレンジングから始めるので、モデルは、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラそして口紅までフルメイクをしてこなければなりません。

脱毛の施術に備えて、脇、両腕両脚、ビキニラインそして眉毛のムダ毛処理をしていない状態であること、手足の爪も手入れのしていない状態でマットな濃い色のマニキュアを塗ってくることが要求されます。

当日試験官が、モデル一人一人を丹念にチェックするため、何かひとつでも条件を満たしていない場合は、もちろん減点になります。

 

フランスの学校の新年度は9月から始まり6月に終了しますので、夏休み直前の6月に国家試験を受験します。

夏服に着替えるこの時期に、体中のムダ毛を生やしたままにしなくてはいけないモデル役の準備もたいへんです。

 

そして、当日持参する材料一式の準備もたいへんです。

 

「先生、当日はトラック1台レンタルしたほうがいいですか?」

 

授業中にそんな質問が飛び交うくらいの大荷物。

エステのモデルと聞くと、フェイシャルケアやマニキュアを無料で受けることができる優雅な役回りのようですが、前もって爪やムダ毛を伸ばしたり、当日は受験者と二人でスーツケースやメイクボックスを運んだりと、未来のエステティシャンの重要なサポ-ト役なのです。

 

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そして、ついに試験本番。

試験前の会場の下見は禁止されていましたので、本番当日、いつもと勝手の違う教室で、3時間半の実技を行うのはかなり緊張しました。

試験会場がたまたま自分の学校に当たった学生はラッキ-。

当日の試験官の一人が、偶然にも自分の学校の先生に当たるとこれもまた本当に運がいいことです。

試験官は公正に審査しなければいけないとは言うものの、自校の合格者を一人でも多くしたいと思うのは当然で、その分採点も甘くなるでしょうから。

 

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さて当日、私に与えられたお題は、

“挙式当日の花嫁”

結婚式が間近に迫り、ストレスと寝不足による顔色のくすみを気にしている。

彼女は、肩を大きくだしたアイボリー色のドレスを身にまとい、黄色とオレンジ色の花のブーケを手に持つ。

 

― クレンジング

― 眉毛の脱毛

― 彼女の肌に適したフェイシャルエステ(少なくとも2種類の機器使用)

― 脇の下のワックス脱毛

― マニキュア、ハンドマッサージ付き(パール入りマニキュア使用)

― 花嫁にふさわしいメイク

― 筆記 マニキュア施術行程表の作成

 

以上を3時間半で仕上げなければなりません。

 

①ワックス脱毛は、別室に用意されているので時間のロスを防ぐために、まず最初に取りかかるのが鉄則。これさえ済ませてしまえば、後は落ち着いて施術ができる。

脇は、脚やビキニラインに比べてワックスを塗布する部分が小さいため、ほとんど一瞬にして脱毛できる。

脱毛の配点は140点中28点。

 

②クレンジング

口紅とアイメイクをコットンと綿棒で丁寧に落としてから、顔全体のメイクをクレンジングミルクとすばやく馴染ませ、ティッシュペーパーでふき取る。最後にトニックローションでもう一度ふき取る。

この時点で、審査員に手を上げてクレンジング終了を告げ、きちんとメイクが落ちているか採点をしてもらう。

クレンジングは合計140点中6点。

③眉毛の脱毛

毛抜きを使って眉毛のラインからはみ出している部分をすばやく引き抜く。

これは4点。

 

④スクラブ

肌のくすみをなくし、透明感をだすために、スクラブ剤を使用。

指の腹を使って、やさしく螺旋を描くようにして古い角質を取り除く。

 

⑤ルカ・シャンピオンニエール(エステ機器)

暖かいスチームを顔全体に噴霧することにより、スクラブの取り残しをきれいに洗い流し、表皮に潤いを与える。

 

モデラージ(マッサージ)

フランスでは厳密には“マッサージ”とは、運動療法士による医療目的の行為を意味し、エステティックサロンでの“マッサージ”の施術は法律的には認められていません。

しかしながら、実際にはエステティックサロンでもマッサージは行われています。

このエステティシャンによるリラクゼーション目的のマッサージは、公式には“モデラージ”と呼ばれます。

双方区別されているにもかかわらず、一般的にはあいまいな点が多く、これまでにも何度も、運動療法士団体とエステティック業界の間で物議をかもしています。

運動療法士によるマッサージは治療目的の医療行為のため、医師による処方箋が必要で、それには体のどの部分をどういう目的で、どれくらいの頻度で合計何回の施術を受けるかが明示されており、医療保険の還付対象となります。

混同を避けるためにフランスのエステティック業界では、モデラージという用語が使われています。

けれども、モデラージではお客様には何のことだか伝わらないため、実際にはマッサージと言っていますけれど…。

 

顧客の緊張感やストレスを緩和するために、顔全体と目の周りの軽擦マッサージをたっぷり時間をかけて行う。マッサージは血行を促進するため、顔色も良くなる効果がある。

 

⑦パック

クリーム状の保湿パックを目と口を避けて顔全体に均一に塗布し、10分間放置する。

 

その間に使用済みの化粧品や道具をすばやく片付ける。3時間半の実技を通して常に、自分の作業台の清潔さや整理整頓ぶりも採点対象となるので気を抜くひまがない。

そして、次にとりかかるマニキュアの準備を始める。あらかじめ、濃い色が塗られているので、リムーバーで注意深くふき取る。

 

⑧ヴァポレル(エステ機器) 

パックを、スポンジで完璧にふき取ってから(顎下はふき残しがでやすいので要注意)、冷水を噴霧し、肌を収斂させる。

 

⑨デイクリームを塗布し、審査員にフェイシャルエステ終了を告げ採点を受ける。

配点は、エステ手技25点、機器の取り扱い12点。

 

⑩マニキュア 

紙やすりで爪の形を整えた後、甘皮やささくれを丁寧に処理したのち、焦る気持ちをおさえながら、ゆっくりとハンドマッサージを行う。

パステルカラーのパール入りマニキュアを塗布する。

完全に乾く前に不注意で触ってしまうとまたやり直さなければならないので、塗り終えたら手を挙げて、すぐに審査員の採点を受ける。 配点は25点。

 

⑪最後にメイキャップに取りかかる。

花嫁メイクなので、あまり濃くならないようにあくまでもナチュラルにする。

黄とオレンジ色のブーケに合わせたパステルカラーで華やかさを出し、写真写りが良くなるようにパール入りのパウダーで輝くような肌色に仕上げる。

メイクの配点は、20点。

 

残り10分で筆記を仕上げ、荷物をすべて片付けて、ぎりぎり制限時間以内にすべて終了。

授業で模擬試験を何度も経験してきたけれども、やはり本番はいつもと勝手が違い予想以上に気持ちが焦ってしまった。

時間配分が難しかったけれども、何とか無事終了。

 

 

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パリで働くには?

 

CAPの資格を取得できたら、パリでさらに腕を磨いてみたいですね。

私の在学中には、オランダの船会社が世界中を旅行する豪華客船で働くエステティシャンを募集していたのを覚えています。クラスメイトが競って応募していました。

パリの豪華パラス(超高級ホテル)は、今やスパ設備が必須なので、エステティシャンの需要はますます高まっています。また、日本語情報誌にも、日本人エステティシャン募集の広告を目にすることもあります。フランス領タヒチのリゾートホテルのエステティシャン募集の広告を目にしたこともあります。求人情報には事欠きません。

 

それよりも難しいのは、労働許可証を取得することです。これがないと、フランスで合法的に就労することはできません。

私は、就職が決まってから移民局の承認を得て、在日フランス大使館に就労ヴィザ申請をし、承認後渡仏、結局正式に就職するまで半年くらいかかりました。

周囲には、もっと早く容易に取得できた人もいれば、拒否された人もいて、運よくくじに当たるようなものかも? と思えるくらいに審査内容は複雑なようです。

その上、申請方法や取得のための条件は、たびたび変更されるのでその都度確認する必要があります。

親日派シラク大統領の時代は、日本人の労働許可は下りやすいとのまことしやかな噂もありましたが、近年は失業率の増加や移民の流入の現状から承認が厳しくなっていると思われます。

 

詳細は、在日フランス大使館のホームページの就労ビザの項目を参考にしてください。

 

パリのエステティシャンになるには? (1)

フランスでプロのエステティシャンになるには、フランス教育省から交付される国家資格C.A.P₁(職業適格証)を取得しなければなりません。

 

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 ₁Certificat d’aptitude professionnelle Esthétique-Cosmétique-Conseil-Venteの略

 エステティック施術や化粧品のカウンセリング、販売職に就くための適格証

 

これはエステティック業界で働くための基礎になる資格なので、これを取得すれば、独立して開業することもできます。

 

フェイシャルケア、ワックス脱毛、メイキャップ、マニキュア、化粧品販売の技術と、皮膚科学や化粧品学等の理論に加えて、外国人はフランス語や数学、歴史等一般教養も1~2年でマスタ-しなければなりません。

 

この資格はフェイシャルケアに重点を置いていますが、サロンやスパでは圧倒的にボディケアの需要が高く、現場の需要に対応するために、各専門学校はオプションでボディケアのコースを設けてあります。就職のためにはボディケアの技術を習得していると断然有利です。

 

又、C.A.P取得後さらにあと2年間、学校と企業で交互に学びながら上級資格にチャレンジすることも可能です。

 

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では、どこの専門学校で学べばいいのでしょうか? 

 

私がパリに留学した当時、今から20年前は、外国人にフランス人同様の正規の国家資格取得コースへの入学を認めてくれる学校はあまりありませんでした。

テクニックのみを学び、各学校の終了証書を取得するコースの入学を認めてもらえればいい方で、門前払いされたこともあります。

 

国家試験は技術のみならず理論の比重も高いため、国家試験合格率を競っている私立の専門学校としては、語学ハンディがあり、足手まといになる恐れのある外国人を加えたくないのも仕方なかったのかもしれません。

 

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けれども今では、ヨーロッパ統合に伴うヨーロッパ諸国からの移民や、アジア諸国(日本や中国、韓国)からの留学生増大に伴い、専門学校の対応もずいぶん変わってきました。

留学生は、最初のうちこそ多少のハンディはあるものの、こつこつとまじめに勉強し、無事国家試験に合格できることがわかってもらえたからなのです。

今では、フランス語さえ理解できれば、どの学校も正規コースへの入学は可能です。

 

 

 

 

 

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優秀なエステティシャンは優れた専門教育の賜物にほかありませんから、学校選びはくれぐれも慎重に行わなければなりません。まずはホームページでおおよその情報を調べてから、実際に訪ねてみることです。

教室や、授業風景を見学させてくれる機会もあります。

華やかなイベントで招待客にメイクやエステの施術をする経験ができる学校や、最近では老人ホームでのボランティアや女性癌患者へのエステケアの授業を取り入れている学校もあります。

入学には、各学校とも書類審査後、面接試験があります。学費は基本コース1年間でおおよそ6000ユーロ+1000ユーロの材料費がかかります。

 

 

エステティック専門学校リスト

 

École d’esthétique Catherine Sertin キャトリーヌ セルタン エステティック専門学校

パリで唯一、日本でもお馴染みのシデスコ国際資格の取得も可能な学校。同校の教育部長マダム ルトルーは2012年よりシデスコ フランス会長を務めておられます。

 

École Elysées Marbeuf エリゼ マルブフ専門学校

美容業界で名前を知らない人がいないくらい有名な学校。南仏カンヌ校もあります。

 

École Privée Internationale d’Esthétique et de Cosmétologie Françoise Morice

フランソワーズ モリス 国際エステティック、化粧品学専門学校

厳格な教育方針で有名。大阪に日本校があります。

 

L’Academie GUINOT-MARY COHR ギノ マリコール アカデミー

日本ではマリコールの名前で知られています。サロンブランドとして50年の歴史を誇る、エステティック業界を知り尽くした ギノ マリコール社によって2012年に開校。最新の設備を兼ね備えた学校で、豊かな経験を生かした実践教育が受けられます。

 

Institut Superieur JUVENTHERA ジュヴェンテラ高等学院

創立者の一人でもある現校長は、元エステティックサロン経営者であり、経営者が求める即戦力になるエステティシャン養成に力を注いでいます。

 

 

 

 

入学手続き

 

シャンゼリゼ大道りと交差するマルブフ通りにあるエリゼ・マルブフ専門学校に入学手続きに赴いた時の事は、20年近く経過した今でも鮮明に覚えています。

 

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ChanelChristian Diorをはじめ世界中の高級ブランドがひしめくモンテーニュ通りを歩きながら、シャンゼリゼ劇場もプラザアテネホテルも通り越し、ヴァレンティノブティックの角を左に曲がるとエステティックの名門校エリゼ・マルブフの建物が見えて来ました。

 

 「入学した時点から生徒一人一人が皆、当校の看板を背負っているのですから、1953年創立以来、歴代の先輩たちが積み重ねてきた評判に傷をつけることのないように常にエレガントであるよう気をつけてください。

ジーパン、スニ-カ-での通学は禁止です。着替えに家まで帰っていただきますからね。手、爪は常に清潔さを保ち、髪もブロウしてくること、そして必ずお化粧してくること」

 

おそらく当時としては非常に珍しかったと思いますが、エリゼ・マルブフは、男性の入学も認めていました。

今思えば、伝統校でありながらもたいへん開けた校風だったのです。

私のクラスには、ホモセクシャルの男性が一人いましたが、実技の際にも誰も気に留める様子はなく、一緒に着替えをしていました。

ワックス脱毛の授業では、クラス皆のかっこうの練習モデルでした。

そればかりか、彼は美的センスが抜群でメイクの出来栄えは毎回クラスで1、2を争うほどでした。

 

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