千代に八千代にパリジェンヌのように美しく

パリのエステシャンがあなたに伝えたい、年を重ねても美しいパリジェンヌのきれいの秘訣

砂漠のプリンセスの秘薬   ウチワサボテンオイル

 

クリームだけでは潤い不足

病院でのがん患者へのビューティーレッスンでのこと。参加者のマダムから、

「肌がカサカサに乾燥して、どれほどクリームを塗ってもつっぱり感が改善されないので、朝晩オイルをたっぷり塗っています。」

という声を何度も耳にしました。

がん治療の副作用によって、肌は急激に乾燥してしまい、通常の保湿ケアだけでは改善されません。シミやシワよりも、まずはカサカサして引きつり感のある不快症状を和らげることが先決です。そのためには、油分の補給は欠かせません。

 

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フェイシャル用のみならず、シャンプーやボディシャンプーに至るまで、私たちが日常使用している化粧品には、アルガンオイル、アボカドオイルや椿オイル等、植物オイルが配合されています。

 

もともとクリームのベースは、油性成分と水性成分の混合物です。

水と油は、一旦は混ざったように見えても、そのままにしておくと分離してしまいますね。自家製のサラダドレッシングを思い浮かべてください。化粧品は、そうならないように乳化剤を加えて、本来なら弾き合うもの同士を均一に混合して安定した状態を保っています。

化粧品の成分として使用されるオイルは直接肌に付けてもいいわけですね。

私は、以前からボディのマッサージやヘアケアの仕上げにはオイルを使用していますが、顔に直接つけるのは、べとつきとテカリに抵抗がありました。皮脂の分泌が多すぎるとニキビができることからも、油分の取りすぎは毛穴をふさいでしまい、肌の自然な状態を覆い窒息させてしまう心配があります。肌がべとついて髪の毛が顔に張り付いたり、ほこりがつきやすくなったりするので、肌の表面に油脂がべとべと残るのは不快です。

顔に塗るのは、コクのあるテクスチャーでも肌にのせるとスーッと伸びて素早く浸透していき、肌にべたつきを残さないように処方されているクリームが理想的です。

 

私は職業柄、高級な美容液やクリームを惜しみなく使用してきました。

それにもかかわらず、50代になってからは、肌の衰えを感じるようになってきました。適量よりも大目にしっかり使用して肌を潤わせてから就寝しても、朝起きると肌の表面はカサカサになっているのです。朝、またしっかり保湿してからメイクをしても、午後になるとまたカサカサに元どおり。その繰り返しでした。

パリの気候は日本よりも乾燥しているうえに、長い冬の間、暖房の効いた中で暮らしているので、生活環境も肌にはよくありません。

それに加えて、年齢的に私の体内の女性ホルモンの分泌が減少しているのだから仕方ないですね。とはいえ、「塗っても塗ってもカサカサ」、毎日、砂漠にバケツで水をまいているような虚しさを感じていました。

 

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砂漠のプリンセスのためのオイル

そんなわけで、私もマダム達の意見を参考にして植物オイルを試すことにしました。

行きつけのハーブ専門店の化粧品コーナーでいろいろ試した末に、南仏にある夫の実家の庭で栽培されていたことから、ウチワサボテンのオイルに興味を持ちました。

手の甲に1滴オイルを垂らしてみると、草のような緑の香りがします。指先で軽く延ばすと、スーッと肌の中に吸い込まれていき、肌の表面は一瞬にしてなめらかさを取り戻しました。

100%天然のオイルにもかかわらず、驚くほどの浸透力。

まるで数万円の高級美容液を使用したように肌はしっとりと潤いました。

 

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夏になると、赤や黄色のウチワサボテンの果実を八百屋さんの店頭で見かけます。

 

それもそのはず、このウチワサボテンオイルは、「砂漠のプリンセスがいつまでも若さを保つための貴重なオイル」との異名を持ちます。 

ウチワサボテンは、地中海沿岸、主に北アフリカのモロッコチュニジアで栽培されています。その果実の中の小さな種子からコールドプレス(低温圧搾)法でゆっくり時間をかけて一番絞りのオイルを採取します。

1リットルのオイルを調達するためには、30キロの種子が必要になります。そのためには、1トンの果実が必要です。

世界一高価なオイルと言われる所以です。プリンセス専用な訳ですね。

抗酸化作用に優れ、肌の細胞再生を促進し、老化を防止する効果があります。

 

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甘さ控えめのメロンのような味がします。

使用し始めて数日後には、肌に柔軟性やハリが戻ってきたことを実感しました。

さまざまなアンチエイジング化粧品を試した末に私がたどり着いたのは、砂漠の秘薬、ウチワサボテンオイルでした。

50歳代半ば過ぎの成熟肌を乾燥から救ったのは、砂漠地帯の過酷な環境下でも、活き活きと力強く生息するサボテンが、その種子の中に蓄えている自力で生き延びるためのエネルギーでした。

肌の細胞は就寝時に再生されるため、私はこの生命力を毎晩就寝前に肌にチャージしています。

 

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この種子からオイルを採取します