Même malade, メーム マラド たとえ病気でも
je m’aime, ジュ メーム 私は自分が好き
on m'aime ! オン メーム ! 誰かが私を愛してる !
病院でのがん患者向けビューティレッスンで、肌のお手入れの仕方とメイクを指導していますが、抗がん剤治療の副作用で頭髪が脱毛した方々から、
「額の先は、どのあたりまでクリームを塗ればいいのかしら?」
「頭皮も肌の一部と考えて、顔と同様のケアでいいのかしら?」
このような質問を受けることがあります。
私たちは、クレンジングも洗顔も、化粧水もクリームも全部、無意識のうちに頭髪の生え際までお手入れをしますよね。ではその先の頭皮のケアはどうすればいいでしょうか?
それまでは、頭髪のおかげで頭皮は直射日光からも雨や風からも、そして摩擦等の刺激からも守られていましたが、今はむき出しのままなのですから、なおさらのこと何もせずにほおっておくわけにはいきませんね。
ところが、私が病院でビューティレッスンを始めた当初は、治療の副作用による脱毛後の頭皮をケアする化粧品はありませんでした。
髪の毛先はパサパサでも根元はしっとりしていることからわかるように、頭皮は皮脂分泌が盛んなため、顔と同じクリームではべたついてしまいます。そこで、ボディ用の乳液を手のひらでやさしく円を描くように塗布するようにアドバイスしていました。
ビューティレッスン中、毎回のように患者さんどうしの会話の中で、脱毛について話題になります。
脱毛前には痛みやかゆみを感じるとか、脱毛後は頭皮が乾燥して敏感になっているためヒリヒリするとか…。その上、一日中かつらや帽子をかぶっていると頭皮が蒸れてかゆみを感じたり、ターバンやスカーフの生地による摩擦で頭皮が軽い炎症を起こしたりと次から次に不快な症状に見舞われます。
それらを一気に解決してくれる良い方法はないものかと頭を抱えていた患者さんも少なくないはずです。
「MÊME メーム」誕生
2017年2月、ついにがん患者専用の化粧品ブランド「MÊME メーム」が誕生しました。
創業者は、それぞれ母親や近親者をがんで亡くした経験を持つ、Judith とJuliette 20代の女性二人です。
癌専門医と皮膚科医の協力を得て、商品は入念に開発され、フランス国内で製造されています。闘病中のデリケートな皮膚専用のため、慎重を期すため、発がん性の可能性が疑われる物質や内分泌かく乱物質は一切使用していません。商品の安全性には万全を期しています。
リオン市のLEON BERARD がんセンターとJEAN MERMOZ 病院にて、70名の女性患者が21日間化粧品を試した結果、医師と患者双方から高評価が得られました。
化粧品の低刺激性については、96%がとても良いと回答しています。
84%が皮膚の副作用の改善に役立つ、77%がQOLが向上されたと満足しています。
発売からまだ3年しかたっていませんが、パリだけでもうすでに180ヵ所の薬局で販売されています。
創業者のお二人にお目にかかり直接お話をうかがいました。
「メーム化粧品の発売までに一番大変だったことは?」
「徹底的に安全性にこだわって原材料を選ぶだけでなく、使い心地の良さや効果も要求されるために、1品1品の開発にとっても時間がかかってしまうことです。」
白とピンク色基調のパッケージには、各商品ごとに励ましの一言が書き添えてあり
「つらい闘病中であっても、自分の肌に適した化粧品を使用する喜びを感じてもらいたい」
という彼女たちの想いが伝わってきます。
メームのトートバッグには、このような名言が書かれています。
La vie, ce n’est pas d’attendre que l’orage passe,
c’est d’apprendre a danser sous la pluie.
人生は嵐が過ぎ去るのを待つのではなく、
雨の中で踊るすべを学ぶのである。
待ちに待った新商品
最初に開発された商品は、「頭皮用 ミスト」
配合成分の88%は天然成分です。
有機栽培のカレンドラの抽出成分:カレンドラはキク科の植物。乾燥や炎症でバランスの乱れた肌の状態を鎮静する作用があります。デリケートな肌にやさしく働きかけ保護し、肌荒れを防止します。
藪椿オイル:日本でも昔から頭髪のお手入れの定番ですね。
アプリコットオイル:湿疹やかゆみを緩和する効果。新陳代謝を高め皮膚の再生を助ける効果。浸透率が高くさらっとした使用感も頭皮に使用するのに適しています。
肌に栄養を届けるオイル層と不快な症状を緩和する水溶液層の二層構造のため、さらっとしたテクスチャーで、朝は使用後すぐにかつらを装着することも、夜は就寝直前に塗布することもできます。
又、頭皮にミストをシュッシュッと吹きかけてから、指の腹で小さな円を描くように頭皮全体になじませると、毛細血管の血行を高め、頭髪の再生を促進します。
手足症候群用 手袋と足袋
ビューティレッスンでは、クリームのふたを回して開けることができなかったり、マスカラを包んでいるフィルムをやぶることができない患者さんはめずらしくありません。
これは、手足症候群と呼ばれる手足の皮膚に生じる副作用のひとつで、皮膚が分厚く固くガサガサになりひび割れる状態です。
しびれやむくみ、焼けつくような痛みを感じることもあり、日常生活にも支障が出てきます。
その状態を改善するために開発されたのが、手袋と足袋です。
98%天然成分からできています。
有機栽培のアロエベラ:抗炎症、殺菌作用。皮膚の修復に効果があります。
子供の頃、実家の庭でキダチアロエを栽培していました。道端で転んで擦り傷を作ったり、軽いやけどをすると、母は「医者いらずを塗れば大丈夫」とアロエの葉から出る樹液を塗ってくれました。
アロエはそのさまざまな効能から別名「医者いらず」と呼ばれています。
スィートアーモンドオイル:皮膚を柔らかくし栄養分を閉じ込め、潤いを保たせるエモリエント効果があります。
マンゴーバター(マンゴーの種から採取した植物油脂):角質を柔らかくし、保湿効果があります。
成分をしみこませてある手袋と足袋をはめて、30分間有効成分を肌に浸透させます。
足型のビニール袋の中に液が入っている、足の角質を除去するための製品と同様の使い方です。
メームの場合は、内側がコットンなので皮膚が過敏な時にも安心して使用できます。
1回目の使用から肌の状態が改善されると評判の商品です。
ネイルケア
闘病中は爪にも副作用が現れます。薄く割れやすくなるため、日常生活で何かに当たっただけでも爪が欠けてしまうこともあるほどですから、しっかり補強しなくてはいけません。又、それだけでなく黒く変色したり、たてにすじが入ることもあります。
発がん性や中毒症状を起こす可能性のある10成分(ベンゾフェノン、トルエン、ホルムアルデヒド、フタル酸、 合成カンファー、パラベン、コロファン、キシレン、ステレン、重金属)は一切含まれていません。
匂いに過敏な患者さんのために、マニキュア特有のあの不快な匂いの元になる成分は加えていません。
爪を丈夫にするためにシリカ(ケイ素)を配合
ジャガイモ、小麦、トウモロコシ、キャッサバ(タピオカの原料)等83%は天然成分
ネイルカラーは、爪の変色を覆い隠せるためと紫外線から爪を保護するため、マット5色とローズ系2色
除光液は、オイルベースでアセトンを含まないため嫌なにおいもありません。
その上、爪に潤いを与える効果もあります。
そのほかにも、クレンジングクリーム、保湿クリーム、BBクリーム、ボディ洗浄用オイル、ボディクリーム等、 徐々に商品ラインナップも整ってきています。
新商品は、顔色をよく見せるパウダー。
今後はメイクアップ商品の開発が待ち望まれています。
残念ながら、まだ日本には輸入されていませんが、もし身近にがん闘病中の方がいらしたら、パリ旅行のお土産に購入されてはいかがでしょうか。頭皮用ミストは、もちろん男性も使用できます。
パリ市内180ヵ所で販売されていますので、大きな薬局で購入できると思います。
注意:メーム化粧品は、肌への刺激や効果について医師からの承認を得ていますが、闘病中は必ず担当医師の許可を得てから、ご使用ください。
www.memecosmetics.fr