千代に八千代にパリジェンヌのように美しく

パリのエステシャンがあなたに伝えたい、年を重ねても美しいパリジェンヌのきれいの秘訣

タトゥー ~肌に刻み込まれた希望の光~

 

フランスの優勝で幕を閉じた今夏のサッカーワールドカップ

日頃はサッカーに関心のない私も、日本とフランスの試合はTVで応援しました。

その際に、サッカー選手の腕全体を覆っているタトゥーが目につき、日本では肩身の狭い思いをすることもあるタトゥーですが、海外では、隠すものではなく、周囲に誇らしげに見せるものであることを改めて認識しました。

 

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先日、「民衆を率いる自由の女神 前進あるのみ!」の中で取り上げた女性癌患者向けの雑誌「ローズマガジン」で、乳癌治療後に傷痕部分にタトゥーを入れた女性が紹介されています。

 

乳房再生後に、乳輪と乳頭に医療用のタトゥーを入れる治療は、ソシオ・エステティシャンとして大学病院での研修の際に目にしました。それは、治療後、乳房の見た目を元の状態に近づけ、乳房切除をわかりにくくするための医療行為の一環として行われるものでした。(20年近く前の話です)

 

今では、外科的手術の傷を覆い隠すためのみならず、精神的な苦しみを乗り越えるための心のささえとしてタトゥ-を入れるようになりました。

 

私はこれまでに、癌治療後、自分の変わり果てた姿を直視することができず、浴室ではサングラスをかける女性に何度か出会いました。

ある女性は、

「外出する時は、周囲に気付かれないように何とか取り繕っているけれども、帰宅して鬘を脱ぎ、左胸のパットを外すと、自分がしょんぼりしぼんでしまったような気分で、毎日サーカスのピエロを演じているよう。衣装もメイクも取りはらった素の自分自身は、人前に出る価値もない」

と感じていました。

 

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着替えをするたびに胸の傷痕を目にして涙を浮かべたり、浴室で鏡に映った自分の裸体から目をそらしたりと、自分の体の一部の切除による喪失感や、女性としての魅力を失ってしまったと感じる自信の喪失感に打ち勝つためにタトゥを入れるのです。

病後、新たな人生を踏み出すため、もう一度自分を美しいと感じるために、タトゥを入れるのです。

 

一度体に墨を入れたら簡単に消すことはできないとわかっています。

傷痕から目をそらすことはできますが、一方でタトゥーは人目を引き付けますから、誇りをもって他人に自分のありのままを見せる覚悟の末にタトゥーを入れることを決意するのです。

 

胸元に控えめに入れる人もいれば、上半身全体に入れる人もいます。

それまでは、傷痕が人目につかないようにと胸元の詰まった洋服ばかり着ていた女性が、ヌーディストビーチに行けるようになりました。

女性は自分をきれいと感じることで、どれほど勇気づけられることでしょう。

 

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癌の宣告を受けると、これまで食事にも健康にも気を配ってきたにもかかわらず病気になるなんてと、

自分の体に裏切られたと怒りを覚える人もいます。

病院では、自分の体は治療の対象物として扱われていると感じ、もう自分のもちものではなくなってしまったように感じます。

タトゥーのおかげで、

病に屈せずに、勇敢に立ち向かい、そして、ついに病を克服した自分の体に誇りを持てるようになるのです。

 

男性がタジタジしてしまうほどの強さと、男性を魅了する美しさを兼ね備えたフランスの女性たち。

 

フランス人男性は、日本人女性は、優しくて可愛いから好きだといいます。

いつも笑顔を絶やさないから?

ノ-と言わないから?

私はなんだかバカにされているようでいい気がしません。

つらい時にも自分の感情を表に出さない辛抱強さと、まず相手のことを気遣う思いやりのあるのが日本人女性だと思うのです。

 

私たち日本女性も、そろそろカワイイから卒業しませんか?

 

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